ギェルタン(シャングリラ)-3 ~ナシ人の聖地・白水台
注:ギェルタンとは、シャングリラ(香格里拉)の名で知られている街で、現状中国雲南省に属しているが本来チベットの版図に属する。
2007年6月14日
ギェルタン郊外にある白水台に出かける。そんなに遠くないと思っていたのだが、バスで片道3時間もかかってしまった。
そのバスに乗っていた1人の青年が、日本人らしき風貌をしている。私と同じく白水台で下車したので声をかけてみると、やはり日本人だった。ヒロアキという名のその青年と、白水台を巡ることになった。
白水台
白水台のある場所はチベット人ではなくナシ(納西)人のエリアで、白水台は彼らの聖地となっている。ちょうど、やはりチベットの黄龍と同じように、棚田のような段々の形状をした石灰岩の光景を見ることができる。
黄龍と比べると規模ははるかに小さく、全てを巡っても1時間とかからないが、それでも自然の神秘を感じさせられ、ナシ人が聖地とあがめるのもうなずくことができる。どのようにしてこのような地形が生み出されたのだろうか――調べれば分かることだろうが、ここは素直に自然の神秘に浸っていたい。
それぞれの段は、流れてきた水をたたえて池のようになっている。それらの池の水源となる泉が丘の上にあった。とても青く、きれいな水をたたえている。泉の上にはナシ人固有の文化であるトンパ文字が描かれた旗も掲げられていた。
白水台の池の水源となる泉
帰りのバスが来るまでまだ時間があったので、乗り場近くの食堂で昼食をとる。食堂には西洋人の旅行者もいて、時折会話を楽しんだ。
それにしてもこの店、蝿が多い。食後に店の裏にあるトイレに行った時、その発生源が分かった。土を掘っただけの便器の中にびっしりと、未来の蝿たちがいたのである(想像しないように!)。
やがて、来た時と同じバスがやって来て、ギェルタン市街に戻る。
ギェルタンのバスターミナルで、パーミット無しでラサを目指すヒロアキがラサ行きのバスチケット購入にトライする。外国人には売ってくれないだろうということで、通りすがりの中国人に頼んで買ってもらうことにしたのだが、結局チケット売り場の女性職員が英語でヒロアキと直接会話し、果ては横からラサ行きのバスの運転手が「俺の運転するバスが18日に出るから、それに乗りなよ。見つからないようにしてやるから」と言ってきて、そのバスに乗ることとなった。
もしかしたら、チケット売りの職員もバスの運転手もチベット人だったのではないだろうか。そう考えれば、杓子定規な対応にならなかったのも理解できる。
チベットを巡るにしても中国語が必要、ということで、ヒロアキに中国語のレクチャーを請われる。夕食がてら、彼に旅行に必要な基本的な中国語や料理の名前などを伝授した。
チベットの公用語が漢語という異常事態は、いつまで続くのだろうか。
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