石川・福井100名城(3)―越前大野城、一乗谷城
2025年6月8日
この日は朝一番で福井市から東へ。2つの名城を目指す。
まずは、越前大野城(続日本100名城 No.138)。越前一向一揆を平定した恩賞として織田信長から越前国大野郡の内の3万石を与えられた金森長近が亀山に築いた平山城だ。
登城する前にまず、亀山の南西すぐ隣にある戌山を、国道158号線のトンネルわきから登る。ここはかつて金森長近が最初に居城とした戌山城という城があった山で、南出丸跡下の展望台から越前大野城を頂く亀山を一望することができるのだ。
天空の城展望台から望む越前大野城晩秋から春にかけての季節なら、大野盆地が雲海に包まれて越前大野城だけが浮かんで見える「天空の城」の景色が見られるということなのだが、生憎季節を外してしまい、竹田城で見たような雲海の景色を拝むことはできなかった。
戌山を下りて、赤根川沿いに、越前大野城を頂く亀山に歩き進む。山の上の本丸に至る最短ルートという西側駐車場からの階段からアプローチするが、なかなか厳しい階段だった。
間近に見る越前大野城天守武具蔵跡、お福池を経て、1968年に鉄筋コンクリート構造によって推定再建された2層3階の天守に到着。中世の山城で天守が築かれたのは、当時としては最新鋭の方式だったという。天守の中で続100名城のスタンプを頂き、最上階で大野盆地を眺望する。
越前大野城 金森左近像
かつての二の丸広場から望む越前大野城天守帰りは金森左近像、百間坂を経て、南側の城門から退城。その先の山の東側が、かつての二の丸だった場所だ。ここから延びる、風情のある七間通りを歩いてJR越美北線(九頭竜線)越前大野駅へ。列車で次の城へ向かう。
越前大野駅から福井駅方面へ36分、一乗谷駅で下車。100名城という歴史的遺産がある場所にもかかわらず、無人駅というのが何とも寂しい。
この地にあるのは、一乗谷城(日本100名城 No.37)。戦国時代に越前国を治めた戦国大名・朝倉氏の本拠地だ。標高473mの一乗城山に築かれた一乗谷城(山城)と山麓の城下町(朝倉氏および家臣の居館)から成る。
一乗谷朝倉氏遺跡博物館 石敷遺構
一乗谷朝倉氏遺跡博物館 朝倉館原寸再現まずは一乗谷駅近くの一乗谷朝倉氏遺跡博物館を参観。朝倉氏と一乗谷城の概要を説明する展示のほか、この地にあった建築物の広大な石敷遺構や、原寸大で再現された朝倉館のレプリカなどが見どころだ。
この博物館からは、土日祝には無料の周遊バスが利用できる。折しも日曜日。私もこのバスを利用して、朝倉居館の現地に向かった。
一乗谷城の入り口に当たる石垣造りの下城戸跡一乗谷城の入り口に当たる下城戸跡の石垣を横目に城域入りし、平面復原地区・雲正寺地区の前でバスを下車。ここでは庶民・武士が暮らしていた屋敷の跡を幾つも見ることができる。
一乗谷朝倉氏遺跡 雲正寺地区の建物跡
一乗谷朝倉氏遺跡 復原町並その先には、復原町並という、当時の町並みを復元したエリアがある。ここの北出入口で100名城のスタンプを頂いた(南出入口のほか、一乗谷朝倉氏遺跡博物館でも押印可能)後、南北250mほどの道を歩く。室町・戦国時代の風情を、途中でお茶など頂きながら楽しむことができた。
復原町並を南出入口から出て、城域の南の入り口である土塁・上城戸跡などを見た後、一乗谷川のほとりを歩いて北へ復原町並北出入口あたりまで戻る。川の東岸から見える堀に囲まれたエリアが朝倉館跡で、中央に見える木造の門が松雲院の寺門として建てられた唐門(江戸時代中期頃に再建されたものが現存)だ。この門から朝倉館跡に入城する。
一乗谷朝倉氏遺跡 唐門。背後の山に山城がある一乗谷は1573年、朝倉義景を攻めた織田信長により館も城下町も焼き尽くされてしまう。しかし1967年に始まった発掘調査により戦国時代の町並みがほぼ完全な姿で蘇り、朝倉館もかつての建物の痕跡を明確に見て取ることができる。
一乗谷朝倉氏遺跡 朝倉館跡館跡の一段上に上がり、特別史跡に指定された湯殿跡庭園、諏訪館跡庭園、などを巡っていよいよ山城攻めにチャレンジだ。朝倉館跡すぐ上の英林塚から延びる英林塚ルートを、イノシシ除けの電線が張られた登山口から辿ったが――これが急登続き、岩場あり、沢ありの、なかなかな難コースだった。後で一乗谷朝倉氏遺跡サイトの登山MAPを見たところ「上級者向けの一番険しいルート」とのことだった。
一乗谷城 千畳敷
一乗谷城の最深部・三の丸登山口から山道を40分ほど歩いたところで、30m×50mという山城最大の曲輪・千畳敷に到着。更に上がって一の丸、二の丸を経て、登山口から約1時間で山城の最深部・三の丸に行き着く。大変な道だったが、これで「一乗谷城制覇」と胸を張って言うことができる。
下山して、最終の無料シャトルバスの時間まで遺構を楽しんだ後、下城戸跡からバスで博物館に戻り、一乗谷駅から九頭竜線で福井市に戻る。
最終日の明日は、福井の残る1城と、福井といえば、という城以外の要素を楽しむ予定だ。
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