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世界への旅(旅行記)

ペルー

クスコ・2 ~息を切らして高台へ

2009年9月19日

クスコの“心臓破りの坂”
クスコの“心臓破りの坂”
クスコ初日となった前日、アルマス広場から丘の上の家々を見上げたが、今度はあそこに上ってクスコの街を見下ろしたいと思い、この日午前早速出かけてみた。
前にも書いたように、クスコは標高3400mの高地にある。チベット旅行の経験から高山病対策のノウハウはあり、今回も前回のチベット旅行で効き目があったと思われた紅景天を手に入れて出発前から服用するなど対策は立てていたが、やはり高山病は心配の種だった。
前日に到着してすぐに平坦な広場周辺を歩き回ったところ、高山病の症状は表れなかった。
[よし、大丈夫だ]
その時はそう思ったのだったが…
この日歩いたクスコの急勾配な坂道は、文字通り壁のように私の前に立ちふさがった。まさしく“心臓破りの坂”で、一歩歩くごとに息が苦しくなり、耳鳴りまでしてくる。明らかに軽い高山病の症状だ。高台の途中に有名な日本人宿があるのだが、確かに眺めはいいだろうがこんな坂をバックパックを背負って上る苦労は想像を絶する。
最初のビューポイントから見たクスコの町並み
最初のビューポイントから見たクスコの町並み

どうにか心臓破りの坂を登り切り、鐘楼わきのベンチで一休み。呼吸が落ち着いたところで見晴らしのいい場所に移ってみた。
眼下には、赤茶けた瓦屋根が建ち並ぶクスコの街が広がっていた。街の向こうに目をやると、山肌に「VIVA EL PERU GLORIOSO(ペルーに栄光あれ)」という文字が京都の大文字山のように描かれているのもよく見える。
しかし、どういう訳か疲れを吹き飛ばすほどの感動が無い。
[もっといい眺めが見られるはずだ]
まだ「疲れ」という熱さがのど元を過ぎてもいないというのに、私は一旦丘を下り、そしてすぐに向い側の丘を登り始めた。

坂道を上っているうちに、教会が目に入ってきた。アルマス広場からも見えるサン・クリストバル教会である。ここの前がちょうど開けていて、クスコの町並みがよく見える。

サン・クリストバル教会から見たクスコの町並み
サン・クリストバル教会から見たクスコの町並み

先ほどの高台より明らかに低い位置なのだが、ここから見える眺めは間違いなく先ほどよりも良かった。第1に、前の場所では街に雲の影がかかっていたのが今回はすっきりと晴れてくれたという偶然の要素があった。 サン・クリストバル教会
サン・クリストバル教会
クスコの“心臓破りの坂”
教会前にいた現地の人とアルパカ、リャマ
第2に、先ほどの場所からの眺めよりも広いスパンで眺めることができたことがあった。第3に、現在クスコのシンボルとなっているアルマス広場が、そこで行われているパレードの様子まで分かるほどくっきりと見えたことが大きかった。
この町並みもスペインの征服者たちが造ったものなのだろうが、ここに辿り着くまでに文字通り苦しい思いをした私は、ひとまずそのことは置いておいて、日本やアジアとは趣を異にしたこの風景をしばし素直に楽しんだ。

教会前に旅行客はちらほらとしかいなかったが、その僅かなターゲットを狙ってか、毛織物の露店を開いている現地の女性が2人だけいた。彼女らの横には、前日のリマの遺跡で見て大喜びしたアルパカと、それよりやや大柄なリャマ(現地の人は『ラマ』と発音している)が繋がれていた。まるでペットの犬を連れているかのようだったが、この日だけでもその後、アルパカをそれこそ犬の散歩のように連れて歩いていたり、アルパカの子どもを抱っこしていていたりする人たちを何人か目撃することになる。

ところで、この教会から続く道を20分ほど歩いた所に、スペインの征服者たち相手にレジスタンスを行った皇帝マンコ・インカが立てこもった要塞サクサイマワンがあるという。しかし、その時はそんなことを露知らず、クスコの景色とペルーの動物たちの姿に満足して、そのまま丘を下りてしまった。

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