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世界への旅(旅行記)

ペルー

リマ・2 ~古代リマ文化の名残り ワカ・プクヤーナ

ミラ・フローレンスの住宅地の中に突如、ピラミッドのような建造物が現れた。
ワカ・プクヤーナというその遺跡は、西暦200~700年頃に栄えた古代リマ文化の時代に建てられたものである。 ワカ・プクヤーナ
ワカ・プクヤーナ
日干しレンガで造られたピラミッドは、1000年以上前のものとは思えないほどその姿を21世紀にまで留めていた。
ここではガイドによる案内が必須ということで、英語ガイドが来るのを待っていると、ネームプレートをつけた褐色の肌の若い男性職員が声をかけてきた。
"Where are you from?"
"From Japan."
と私が答えると、
「ああ、日本人ですか!私、ナガオです」
と日本語が返ってきた。ネームプレートを見ると確かに「NAGAO」と書かれている。
「僕のおじいさんが日本人でした」
やはりそういうことか。前ページでも少し触れたが、多くの日本人が移民として来たこともペルーの特色だ。
そうしているうちに、女性の英語ガイドがやってきた。私とほか3人の外国人は彼女に案内されて、古代リマの名残りの散策へと繰り出した。 ワカ・プクヤーナ
生け贄とされた少女たちの遺体が出た現場
ワカ・プクヤーナ
ワカ・プクヤーナの上から見た風景

この見事なピラミッドは古代の宗教的な施設であり、儀礼・祭礼などが執り行われていたとされている。一歩中に入ったところにある窪みの前で、いきなりぎょっとさせられる説明があった。
「この場所から、小さな女の子か若い女性ばかりの、生け贄の遺体(ミイラ)が出てきました」
その後も、遺跡を回る中で幾度か生け贄に関する説明があった。
生け贄  ――  「人身御供」だの「人柱」だのいう日本語が存在することから分かるように、遠い昔には日本などでも行われたことがあった悪習である。自然のシステムが科学的に解明されていなかった当時、天の怒りを和らげるために犠牲を差し出した行為を「野蛮」の一言で片づけてしまうのは乱暴なのかもしれないが、大勢の人々が生きるためとはいえまだ生い先長いであろう少女たちが人として生きる権利を奪われた(これも現代人だからこその発想なのだろうが)ことを考えると、やはりやりきれない。
その他にも、この遺跡の建築構造、建築のプロセスなどの説明もあったが、やはり「生け贄」に関する説明が際立って印象に残ってしまった。

エジプトのピラミッドは登ることを禁じられているが、ここは上まで登ることができる。上からは、広大な遺跡の全貌を見渡すことができるほか、その向こうにリマの街のビル群を見ることもできる。
ワカ・プクヤーナに到着した時、「こんな街中にこんな遺跡があるのか…」と、遺跡が街中で浮いているようにも感じられたが、こうして遺跡の上に立ってみると、むしろビル群の風景の方に違和感を感じてしまう。

参観の途中、管理小屋のような所に案内された。何があるのだろうと思っていると、中から2頭の犬が元気よく出てきた。人に慣れていて、ガイドだけでなく来客にもじゃれついてくる。1匹は頭の上に辛うじて毛が生えているが、もう1匹は見事なくらい毛が無くツルツルである。
ペルービアン・へアレスドック、いわゆるインカ犬だ。後から知ったことなのだが、ペルーでは保護のために遺跡や博物館でこの犬が飼育されているという。

インカ犬
インカ犬(ペルービアン・へアレスドック)
アルパカ
アルパカ
クイ
クイ

ここにはインカ犬のほか、アルパカクイも飼育されている。アルパカはその毛がセーターなど織物にされるほか、食用にもなるペルーを主とする南米特有のラクダの仲間である。クイはモルモットの一種だが、こちらも食用とされる立派な家畜なのだ。
今回は動物園に行く予定も暇も無かったのでここでお目にかかることができた時には「ラッキー」とも思われたが、その後も特にアルパカ君とはあちこちでお目にかかることになる。

ワカ・プクヤーナの参観を終えて中央公園界隈に戻り、ハンバーガーショップで昼食をとって宿に戻る頃には正午になっていた。リマに到着してまだ12時間しか経っていなかったが、今回は10日という短期間で効率よくペルーを回る必要があり、次への移動には飛行機を利用することになっていた。そろそろ出発しなければならない。リマにはまた最後に戻ってくるので、残りはその時に回そう。
チェックアウトし、宿のスタッフに「空港まではどのように行けますか?」と尋ねたところ「タクシーで行くのがベスト」とのこと。素直にその言葉に従い、タクシーを呼んでもらった。
途中、太平洋を横目に見ながら、空港へ。14時45分、私は再び機上の人となり、リマを飛び立った。

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