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世界への旅(旅行記)

韓国、モンゴル

テレルジ-3 ~ゲルの夜

あたりが暗くなり始め、夜空には三日月と一番星が
あたりが暗くなり始め、夜空には三日月と一番星が
やがてあたりが暗くなり始める。次第に黒くなる空に、三日月と一番星が映える。
昼間は天井の明り取りから日光が射して明るかったゲルの中も真っ暗になってしまい、柱に懐中電灯をぶら下げてようやく明るくすることができた。

夕食も、昼食同様、簡素なメニューだった。10年前の南モンゴル草原でツーリストたちと大勢で酒杯を傾けながら食事をしたことを思い出すと、ゲルの中での独りきりの食事は何とも侘しく感じられた。

食事を終えて程なくして突然、ゲルの中が真っ暗になった。どうやら懐中電灯が壊れたようである。こうなってしまっては何もできない  ――  と思ったちょうどすぐ後、いいタイミングでスタッフが蝋燭をもってきてくれた。 蝋燭で明り取り
蝋燭で明り取り
懐中電灯に比べれば薄暗いが、これで十分にやっていける。それに、蝋燭のほのかな明かりの方がゲルでのスローライフには似つかわしい。

すっかり漆黒の夜空になった後も、私はしばしば寒さをこらえてゲルの外に出た。モンゴルの草原で星空を見ることも楽しみの一つだったのである。
ウランバートルでは全くといっていいほど星が見えなかったのに比べ、まずまずの星空だった。しかし、"満点の星空"とまではいかず、期待していたほどではない。2007年8月、パキスタン・フンザで見たあの見事な星空と比べてしまうと、はるかに見劣りしてしまう。
周りに明かりは殆ど無く、天体観測には絶好の時期である冬だというのに、どうしたことか  ――  もしかしたら、そう遠くはないウランバートルの汚れた空気が、ここテレルジにまで及んでしまっているのかもしれない。

日付が変わる30分前になって、ツーリストキャンプの管理ゲルに赴いた。管理人一家の新年祝いの席に招待されていたのである。

迎春のお祝い
管理ゲルで迎春のお祝い
モンゴル人の親子
モンゴル人の親子

さすがにこの遅い時間では豪勢な食事とはならず、ボーズ(餃子に似た料理)やニースレルサラダ(ポテトサラダ) など、軽めのメニューだ。
「ポテトサラダはモンゴルの名物なんですよ」
と、日本語を少し話せる女性が説明する。後から知ったのだが、ニースレルサラダは別名「都会サラダ」とも呼ばれるモンゴル定番の料理なのだそうだ。
と、男性が酒をすすめてきた。
「Vodka(ウオツカ)!!」
彼はそう言って、更に身振りで「一気!!」を要求する。
「いや、それはさすがに無理です」
丁重に辞退してちびちびと飲ませていただいたが、こうした家庭的な陽気さと温かさのあるもてなしは大変ありがたかった。
そうしているうちにテレビでカウントダウンが始まり、2008年が終わって2009年へと年が移った。

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