テレルジ-1 ~雪の草原
2008年12月31日
9時。荷物を纏めて、UBゲストハウスのラウンジに出る。前日、マネジャーのキムさん(韓国人)にこの日からのテレルジツアーを申し込んでいたのだ。乗用車に乗ることができる4人までの人数内で人を多く集めればその分ツアー代も安くなるのだが、残念ながらこの日の参加者は私1人だけだった。
車で宿を出発すると、車窓からの風景がビル群からゲル村落へと変わっていく。そして進路を東から北へと変えた後は、草原の中の一本道だった。
テレルジは、こうした草原の真っ只中でゲルでの宿泊や乗馬などを楽しむことができる保養地なのだ。
ウランバートルを出発してから1時間ほどして、車は一本道からそれて草原の奥へと進む。小高い山の麓の、ゲルが幾つか並ぶ場所で車は止まった。ここが今夜の宿になるツーリストキャンプである。
到着して暫くは、管理ゲルでお茶を飲んだりしてくつろぐ。
管理ゲル内部。大きな薪ストーブがある
小さな仏壇も
遊牧民の移動式住居であるゲルは、円形に組んだ木の枠に分厚い布を被せた簡素な造りである。真ん中にはモンゴルの厳しい冬をしのぐための薪ストーブが置かれ、棚の上には小さな仏壇もある。しかし、さすがに現在では真の"遊牧"はしないのか、テレビや冷蔵庫があるなど、管理者のゲルにはしっかりと電気が通っている。しかし、冷蔵庫の上に大きな羊の腿肉がでんと置いてあるあたりなどは、やはり遊牧の民らしい。
私の一夜の宿となったゲル(左側)
ゲルの内部
やがて、「こちらへどうぞ」と案内されて、管理ゲルを出る。表では、これから私の乗ってきた車でウランバートルに戻ろうとする外国人ツーリストたちがいた。私は彼らと入れ替わりで客室ゲルに入るということである。
"Have a nice trip !!"
"Have a happy new year !!"
そんな挨拶を交わして、先客たちは草原を後にする。
そう。この日は大晦日で明日は2009年元日。私は草原のゲルで年を越すという訳だ。
彼らと入れ替わりに入ったツーリスト宿泊用ゲルは、ベッドが4つ、机が1つ、真ん中に薪ストーブが1つという、先ほどの管理ゲル以上に簡素なものだった。こちらは電気も通っていない。しかし、テレルジを訪れるツーリストは都会の喧騒から離れたスローライフを楽しみに来るものである。ストーブの中では炎が赤々と燃えていて熱いぐらいであり、寒さも十分にしのぐことができる。むしろ、大いに満足すべき条件だろう。
簡素な昼食をとった後、寒さも忘れて草原を歩き回ってみる。生憎私が泊まったツーリストキャンプは三方を小高い山に囲まれていてすっきりと草原を見渡すのは難しいが、その小高い山の上まで登ってみると広々とした景色を見渡すことができる。
すっかり雪に覆われて緑の草は殆ど見えないが、緑の草原は10年前の南モンゴル訪問の時、既に見ている。今回は違う季節の、違う色のモンゴルの草原をむしろ大いに楽しんだ。
テレルジの草原(雪原)
青空の下に広がる雪の大地を見ていると、
♪ 果てしない 大空と 広い大地の その中で~
などと、お気に入りの古い歌を口ずさみたくなってくる。
景色のほかに、私を楽しませてくれたのが、動物たちだ。
まず目に付くのが、ツーリストキャンプで飼われている馬だ。モンゴル人の移動と戦いを支えてきた、彼らにとって欠かすことのできない家畜である。
そして、モンゴルといえばやはり羊だ。ツーリストキャンプの近くでも囲いの中に数十頭の羊が放牧されている光景にお目にかかった。
来年の干支の牛の姿もある。
それから、ツーリストキャンプで飼われている犬たち。お客に対してはこの上なく人懐っこくて可愛い(そういえば10年前の南モンゴルで泊まったツーリストキャンプにいた犬もやたら人懐っこかった)が、見慣れない車などが走っていたりすると大声でほえながら駆け寄っていく一面もあり、なかなか立派な番犬である。
最後に、ラクダ。モンゴルにも生息する動物なのでここにいても全く不思議ではないのだが、雪景色にラクダというのはどうもイメージに合わない。
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