南モンゴル草原 ~馬に乗って騎馬民族の気分
1998年8月28日
一夜明けた朝。法政大学の学生3人とタクシー相乗りで、いざフフホトから草原へと向かう。
これまでも多くの日本人観光客を相手にしてきたのだろう。流暢な日本語を話すガイドの男性と会話を楽しみながら、約2時間、あまり舗装状態の良くない道を進むと、眼前に広大な緑の光景が広がった。
間もなく、この草原を乗馬で走ることになる ―― 一段とわくわくしてきた。
宿舎となったゲルでバター茶を飲んで、まずは一休み。その後、法大の3人を含めて、サラブレッドよりも二周りほど小さい馬で、草原へと繰り出した。
宿舎となったゲル
馬上の筆者。太めだったので馬もきつそう。
ツーリング(?)担当のモンゴル人も、多くの日本人を相手にしてきたらしい。時折「ミギ、ミギ
ヒダリ、ヒダリ!」と、私たちに指示を与える。
しかし、馬は思うように動いてくれない。まず第一に、私たちが腹を蹴っても、歩き出そうとしない。ガイドが掛け声を出してやっと、動いてくれる始末だ。その上、前を行く3人が手綱をうまくさばき切れず、馬はあさっての方向に向かってしまう。楽しみにしていた駆け足も、最後にほんの少ししかさせてもらえなかった。
この日のために、日本で3日ほど乗馬学校に通ったのだが、ほとんど役に立たなかった。
それでも、青空の下、緑の草原を高い視線から見る気分は、爽快だ。標高の高い場所にいるから、という訳でもなかろうが、青空が、白い雲が、手に届くのではないかと思える程、近く見える。
そして、至る所で羊がのんびりと草をはむ光景も、牧歌的で気分を和ませてくれる。
ほんの僅かではあったが、チンギス・ハンと騎馬民族の気分に浸ることができた。
草原でのんびり草をはむ羊たち
ツーリングの後は、モンゴル相撲に挑戦だ。
土俵入り(とは言っても、モンゴル相撲に土俵は無いが)の儀式の後、観光客たちもユニホームをまとって、屈強なモンゴル人男性たちの胸を借りる。
迫力満点、モンゴル相撲
どちらかと言えば小柄で、力もそれ程強くない私は、あっさりと土をつけられてしまった。その他の観光客たちも、次々とモンゴル人戦士たちに屈していく。
そんな中、一見細身の西洋人が、健闘を見せる。モンゴル人の力強く、素早い攻撃にひるむことなく、全く互角に闘っている。ついに勝負はつかず、引き分けに終わり、観衆から大きな拍手と歓声を浴びていた。
続いて、長い直線距離を走る草競馬を楽しんでいると、
いつの間にか、太陽が西の空に真っ赤に映えるようになり、やがて草原は闇に包まれていった。
しかし、緑の草原が、青空が、羊たちが見えなくなっても、
この草原には、夜には夜の素晴らしい顔がある。
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