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世界への旅(旅行記)

アジア周遊第3部 チベット

チベット鉄道-1 ~チベット入り

私はチベット鉄道(中国名『青蔵鉄道』)の車内にいた。中国四川省・成都から、昆明で知り合い、成都で再会した日本人男性・ワタルと共に、チベットの首府であるラサを目指していたのである。
17時ごろ、列車は西寧駅を出発する。
チベットと中国の本来の国境は、西寧のすぐ先にある。従って、私たちは西寧を出た時点で既にチベットに入っていたことになる(但し、当時はまだそうした意識は無かった)。
ツォ・ゴンボ
ツォ・ゴンボ(青海湖)

西寧を出発してから暫くは、菜の花畑の見える風景が続いたが、やがて草原へと姿を変えていく。そして19時ごろ、巨大な湖が見えてきた。ツォ・ゴンボ(ココノール湖。中国名『青海湖』)である。
6年前、私はこの湖を南岸から眺めたことがあった。その時は、岸辺が菜の花の絨毯に覆われた美しい風景を見ることができた。しかし、今回は湖の北側を通る列車からの風景で、菜の花は全く見ることができず、風景としては寂しく、もの足りなかった。
湖畔に時折、チベット式のテントが見える。この湖は、チベット人にとっては聖なる湖なのである。
ツォ・ゴンボを過ぎた後も、草原を歩くチベット僧や、放牧されているヤクの群れなど、チベットらしい光景を見ることができた。
夕陽に染まる雲
21時ごろ、ようやく雲が夕陽に染まる

チベットの空は変幻自在である。分厚い雲がかかっていたかと思ったら晴れ間が出て、暫くするとまた雲が分厚くなる。時には虹がみえたりもした。
地上の様子も変わってきた。20時を過ぎたあたりから、雪に覆われた部分のある禿山も見えてくる。
それにしても、20時を回っても、まだ陽は沈まない。それもそのはずで、このあたりは北京から2000km以上も西に離れているもかかわらず、北京時間が使用されているのだ。中国は中共の本部がる北京が全てであり、辺境もそれに従えと言わんばかりで、実に不愉快だ。

20時半ごろ、雲が夕陽に染まり始めた。ようやく、チベット鉄道2日目の夜の到来である。

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