后海一帯 ~北京を代表する胡同
2007年2月19日
“オールド・ペキン”を求めてまず目指したのが、北海の北に位置する、后海一帯だ。昔ながらの四合院が建ち並び、明の永楽帝の時代に築かれた鼓楼や鐘楼があるのもここである。北京で胡同ツアーと言えばここを巡るものであり、北京を代表する胡同と言っていい。
2008年の北京五輪を前に北京の各地で胡同が壊されてビルディングが建てられているようだが、ここの胡同はきっと観光コースとして生き残ることだろう。ここに着くや否や鬱陶しいほどに群がってくる観光人力車の車夫たちの様子を見ていれば、それは容易に予想がつく。
恭王府
このエリアには以前にも何度か来たことがあったが、それでも訪れていなかった場所があった。その一つが、清朝の皇族の邸宅であった恭王府である。
「紅楼夢」の舞台のモデルでもあるらしいのだが、私には普通の庭園ぐらいにしか感じられなかった。
それよりも、胡同の楽しみ方と言えばやはり、いにしえの趣を漂わせる細い路地をぶらぶらと歩くことだ。昔ながらの北京人の生活感が感じられ、四合院の中から辮髪の男性が出てきてもおかしくないぐらいの雰囲気である。前海と后海という2つの湖がつながる部分にはバー街もあるが、決して古い雰囲気を損ねてはいない。
いにしえの趣を漂わせる胡同
鐘楼から見下ろした胡同
通常の目線から見た胡同も勿論いいが、上から眺める古い町並みもまたいい。后海の南から北に移動すると、鼓楼と鐘楼がある。私は鐘楼に上って胡同を見下ろしてみた。
近代的なビルディングが建ち並ぶ北京にあって、やはりこの一帯の風景は一味違う。視界に見える大部分の建物が古い民家だ。雲南の麗江で見た町並みの光景を思い出させられる。
このエリアも、麗江と同じように世界遺産か何かに登録されて手厚く保護を受けられるようにならないだろうか。
ここまで四合院を外から眺めてはきたが、まだ中を見ていなかった。例え門が開いていても、中の様子は見えない造りになっていることが多いのである。
かと言って、他人の家にずかずかと入り込んで写真を撮ったりするのはマナー違反だ。人力車ツアーを利用すれば中を見ることもできるようだが、私は自分の足で歩ける場所は自分の足で歩いてこそ、と思っているので、当然ツアーには参加していない。
そこで、公開されている著名人の故居を参観しようと考えたが、郭末若故居、梅蘭芳記念館などは軒並み改装中で参観することができなかった。
老舎記念館
ようやくそれを拝むことができたのは、后海エリアを離れて王府井近くまで移動した場所だった。(後になってから、茅盾故居を取りこぼしていたことに気がついた)
そこにあったのが、老舎記念館である。中に入ってみると、確かに中庭を中心に、四方に平屋が建っている。
老舎は、1899年にここ北京で生まれ、20世紀中盤に活躍した小説家であり、戯曲「茶館」などが有名である。記念館では、彼の生涯に関する展示が行われていた。
老舎という名前は聞いたことがあるのだが、彼の著作はまだ読んだことがない。展示を見ていて、俄然興味がわいてきた。機会があれば「駱駝祥子」でも読んでみようか。