世界への旅(旅行記)
> 海南島
三亜・2 ~天涯海角
2006年5月3日
中国語に「天涯海角」或いは「海角天涯」という言葉がある。「天地の果て」という意味だ。
ここ三亜には、まさしく「天涯海角」と呼ばれる景勝地がある。
天涯海角
三亜市街から西へ約25km、バスで約30分の天涯鎮に、この景勝地はある。
入り口から先に進むと、薄茶色の砂浜、青い海、青い空が出迎えてくれる。やはり三亜の海は、まばゆい。
ただし、大東海あたりとは明らかに景色が違う。この海辺はかなり岩がちなのである。しかし、これらの岩こそが天涯海角を天涯海角たらしめている要素で、リゾートビーチとはまた違う意味でのいい雰囲気を醸し出している。
風景区の海岸の中ほどに、「雨天一柱」と赤い文字が書かれた岩がある。2元札の裏のデザインにもなっている、天涯海角を象徴するスポットだ。
ふと、「雨天一柱」というネーミングが気になった。
2元札の裏にも描かれている「雨天一柱」
今は好天に恵まれているが、海南島の雨期は激しいスコールに見舞われる(私自身、2日前に海口でそれを身をもって経験した)。岩の名付け親は、そんな激しい雨の中でこの景色を見ていたに相違ない。
ネーミングということになると、「天涯海角」そのものも気になってくる。
趙薇の「好想好想」という歌の詞の中に「走辺海角天涯」というくだりがある。「(あなたと一緒に)天地の果てを歩きたい」といった意味で、こういう風に歌うとロマンチックな響きにも聞こえてくる。
しかし、ここの名付け親は決してそんな心境ではなかったことであろう。
前にも書いたように、海南島はかつての流刑地である。流されてきた者にとって、この地は南の最果て・海南島の更に一番南、即ち最果て中の最果てだったのだ。そう考えると、「天涯海角」という名前には悲痛さ、更には絶望的な響きすら感じられてくる。
そう言えば、2元札の裏に描かれている天涯海角の海は、荒れ狂っていて波も高く、今目の前にある風景とは雰囲気が異なっている。彼らにとっての天涯海角とは、この絵のような景色に他ならなかったのだろう。
とは言うものの、今目の前にあるのは穏やかな海である。流刑者の心境を想像する気分はすぐに、この見事な景色の前にかき消されていた。
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