バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

大陸中国・山東省

青島・5 ~海の幸

2004年10月2日

八大関景区を離れ、先ほどテレビ塔付近から眺めて目を付けていた、高台にある楼閣を目指す。
この楼閣のある場所は、小魚山公園という。ガイドブック等でも余り大きくは扱われていない、青島の隠れた名所だ。
小魚山から望む風景
小魚山から望む風景
小魚山の楼閣
小魚山の楼閣

入場するや否や、楼閣の最上階を目指す。そこからは思惑通り、青島西側の見事な光景を見ることができた。桟橋を、その周囲の近代的なビルを、くっきりと一望することができる。
ただ一つ残念だったのは、その時太陽は既に西に傾いており、西側を望んだ光景が逆光になってしまっていたことだ。ここを訪れるのであれば、午前中の方が最高の眺めを楽しむことができるだろう。

中山公園、小魚山公園と続けざまに青島の街を上から眺めてみて、気が付いたことがある。この街の家屋は、赤みがかった褐色の屋根のものが非常に多いのだ。これが青島のヨーロッパ的な雰囲気を生み出していると言うこともできる。もしかするとこ の色が“青島カラー”というやつなのかもしれない。

また、この公園の壁には、その名の由来を示すかのように、魚のレリーフが刻まれており、その周りには甲骨文字のような、エジプトのヒエログリフのような、魚をかたどった絵文字が刻まれている。青島が海辺の街で、海の幸の恩恵を被ってきた歴史を物語っているのであろう。

小魚山を下りて、康有為故居(康有為・・・清末の考証学者・政治家)を外からだけ見た後、既に何度も訪れている桟橋近辺の海辺に戻る。相変わらず人でごった返しており、露店が並び、物売りたちが行き交う。
揚げエビと生ガニの串
揚げエビと生ガニの串
そんな中、私の目は何人かの物売りたちの品物に引き付けられた。 小さなエビとカニを5匹ずつほど串刺しにしたものである。 エビは明らかに油で揚げてあるのだが、カニの方は、脚も甲羅もそのままであり、軽く湯通ししただけか、或いは生のままのようにしか見えない。
生のままで食べては、危険なのではないか? 腹を壊したりする可能性だってあるぞ ―― しかし、好奇心が理性を上回ってしまった。私は1人の売り子から、エビとカニを1串ずつ買った。
エビは普通に唐揚げである。さて、カニの方は ―― 甲羅が付いたままなので、当然、一口かじるとバリバリと音がする。味付けの方は、海水に浸っていただけかな、という程度の塩味だけである。
通りかかった老人が少し笑いながら私に言う。「生でかよ」
―― やはり、生だったようだ。
しかし、すっかり味をしめてしまった私は、別の売り子からもう1セット買って食べてしまった。
青島で海の幸の小吃と言えば、イカ焼きが名物なのだが、これもまた隠れた青島の名物小吃と言えるのではないだろうか。
(なお、結果を先に言ってしまうと、腹の方はその後も何の異常も訴えてこなかった)

肌寒かった前日に比べ、この日は天気に恵まれてやや暖かくなってくれた。
桟橋先端の楼閣が浮かぶ黄海に、夕日が映える。明日は次の街へ向かうので、青島の夕暮れもこれで見納めだ。

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