青島・3 ~ドイツの名残り
2004年10月2日
黄海に伸びる桟橋
爽やかな晴天だ。朝からホテル近くの桟橋近辺の海辺を散歩する。
青島の海岸から黄海に伸びている桟橋は、全長約500メートル、幅約10メートルのものであり、その先端には八角形の楼閣が建っている。ただし、元々が清末の列強侵略に対抗するための軍事施設であり、橋 の路面はコンクリートで固められている。そういう意味では古めかしい風情という面には欠けているのだが、それでもここが青島の海岸を代表する光景であることは間違いない。この日も、連休2日目ということもあって、大勢の游客たちが訪れていた。
前日、開発区を通過した際に、青島は現地企業が元気な街だ、ということを感じた。次に訪れた場所は、その現地企業の1つの歴史を物語る場所である。その企業とは青島ビール、そしてその歴史を物語る場所とは青島啤酒博物館だ。
青島啤酒博物館
博物館内の展示
この博物館は市内の青島ビール第1工場に、青島ビール100周年を記念して造られたもので、1903年に始まる青島ビールの歴史が現在に到るまで分かるようになっている。また、ビールの製造工程に関する展示も興味深い。
ビールと言えば思い浮かぶ国が、ドイツである。青島はかつてドイツの租借地であり、そして青島ビール工場も ドイツ人によって創設されたものである。青島にはドイツの“名残り”がそこかしこに見られるが、青島ビールはその象徴的存在と言うことができるだろう。
見学が終わったところで、無料でビールを飲ませてもらえる。私は、中国のビールはどうも炭酸が胃に優しくない印象があって、最近は余りすすんで飲むことはなくなっているのだが、この青島ビールにはそれが無く、非常に飲みやすい。中国を代表するビールの味を楽しんで、まだ午前中だというのにほろ酔い気分だ。
青島の市街を東西2つに分けるように、街の中央に小高い山が横たわっている。太平山というその山の上にはテレビ塔がある。モダンな青島の街の中でも、特に際立った存在だ。
大連も山の上にテレビ塔がある。やはりこの2つの街は、いろいろな面で類似点を発見することができる。
そう言えば、大連でテレビ塔の足元から大連の街を一望したことがある。あそこでも青島の街を一望できるに違いない。あそこまで登ってみよう。
中山公園の山の上にあるテレビ塔
テレビ塔近くから臨む青島市街東側
テレビ塔までは、太平山麓の中山公園からリフトが通っている。 (大連でも、山の麓の労働公園からテレビ塔までのリフトがある。本当によく似ているものだ)。中山公園に入場して、リフトで高台を目指した。
山の上から一望する青島の眺めは確かに悪くなかった。特に近代的なビルが立ち並ぶ市街東側の景色がいい。
しかし、桟橋などがある市街西側の景色がいまひとつである。特に桟橋は、別の山に遮られてほとんど見ることができない。
ほかに西側が見えやすそうな場所はないか、と見渡してみると、今いる山のもう少し西側にある山の上に、楼閣のようなものが見える。あそこからなら 桟橋も含めた西側のいい景色が見えることだろう。私はその楼閣を目指すことにした。
ところで、ここのリフトは2段階になっていて、中山公園―テレビ塔を結ぶ線のほかに、テレビ塔―湛山寺を結ぶ線もある。湛山寺側から山を出ることもできるので、興味があれば行ってみるのもいいかもしれない。