四国100名城(3)―丸亀城、高松城
2024年11月2日
土佐(高知県)の高知市から乗車した南風10号は、正午に讃岐(香川)の丸亀市に到着。
しかし、この日の朝土佐では曇り空ではあったものの雨はそれ程強くなかったのが、この時間の丸亀市の天気予報は1時間の降水量15㎜越え。厳しい城巡りになりそうだ。
丸亀駅から城への途中まではアーケード街を東へ南へと歩いて雨を避けることができたが、南へ針路を変えて城までの距離の半分ほどでアーケードは終わり、そこからは雨との闘いになった。
雨の中辿り着いた城は、丸亀城(100名城 No.78)。豊臣政権時代に讃岐17万石を与えられた生駒親正が高松城の支城として1602年に築いた平山城だ。亀山の上に3重・4重の石垣を築いて縄張を配置して亀山全体を堀で囲んで防御を固め、武家屋敷や城下町までも濠や土塁で囲み防御した「総構」の城である。支城だったため1615年の一国一城令で廃城となるが、時の藩主・生駒正俊が要所を樹木で覆い隠し、城を破却から守る。
丸亀城の大手二の門(手前)、大手一の門(右)、天守(奥)亀山の上に立つ天守を仰ぎ見ながら、内堀を渡って大手二の門・、大手一の門(いずれも現存)をくぐって城内へ。すぐに「見返り坂」を上り、三の丸高石垣に行き当たる。丸亀城の石垣は内堀から積み重ねられた合わせて60mにもなる高さの"扇の勾配"と呼ばれるものだ。
更に三の丸高石垣と三の丸東張出石垣に挟まれた坂を上ると、三の丸に出る。
丸亀城の三の丸高石垣
丸亀城 本丸広場二の丸大手虎口から更に坂を上って二の丸へ。二の丸から更に坂を上った先がようやく、丸亀城の最上部・本丸だ。本丸広場には四隅に櫓跡があり、ここに全部櫓が残っていたらと想像しただけで、壮観な往時の姿がまぶたの裏に浮かんでわくわくしてくる。
丸亀城天守本丸広場唯一の建築物が、3層3階の天守。1660年に築かれたものが現在に残り、現存12天守の1つに数えられるが、ちょっと小さい――高さ約15m、総面積約190平方mと「最も小さい天守」といわれる天守なのだ。
天守に入城し、チケット売り場で100名城のスタンプを頂く。
現存天守なので、内部は勿論趣のある木造。「現存天守あるある」の急勾配の階段を上って最上階に到達する。天気が良ければ窓からいい景色を眺められただろうが、生憎の大雨。市内の独立峰・飯野山も雲に頂を覆われていた。
丸亀城天守内部最上階
石垣の上に建つ丸亀城天守天守を出て二の丸裏手の搦手口から三の丸裏手に下りてみる。ここからは石垣の上に建つ天守を見ることができる。「最も小さい天守」の異名を持つ丸亀城天守だがどうしてどうして、こうして見るとなかなか堂々として立派に見える。
城下に下りる際にも大手門の方ではなく、裏手の下り坂から搦手門に出る。ここから時計回りに大手門を目指す途中、建設用の重機が城山の傍らに置かれているのが見えた。
修復中の丸亀城石垣丸亀城南西側の帯曲輪と三の丸の石垣は2018年の西日本豪雨に見舞われた際に崩落し、修復工事が2024年3月完了を目指して行われたが、被害の程度が予想以上だったことから完了の見込みが4年延長されたとのことだった。本当なら私が来たこの時、工事は終了していた予定だった訳だが、まだまだ工事は進行中。また立派な石垣が蘇る時が待たれる。
丸亀城を去る頃には雨は上がって傘も不要になったが、被害を最小限にしようとした努力も空しく、丸亀城を巡っている間に私の一眼レフカメラはレンズの内側からすっかり雨と湿気にやられてしまった。
丸亀を後にして、快速列車で西へ、香川の県庁所在地・高松へと向かう。
丸亀城から僅か約25㎞という場所に建つ名城が、先ほども名前が挙がった、高松城(100名城 No.77)。生駒親正が引田城、聖通寺城に居した後、1588~90年にかけて藻浦の港町に築いた城だ。瀬戸内海の海水を堀に引き込んだ海城で、愛媛県の今治城や大分県の中津城と並び「日本三大海城」と呼ばれる。
高松城の(左から)月見櫓、水手御門、渡櫓天守は明治に破却されるが、北の丸の月見櫓、水手御門、渡櫓などが絵ぢ時代当時のもので、重要文化財に指定されている。
西の旭門から入城。高松城には2017年に来たことがあったが100名城スタンプを集め始める前のことだったので、今回ここでようやくスタンプを頂く。
高松城の艮櫓(左)と旭門(右)
高松城天守台披雲閣の庭園などを楽しんだ後、二の丸広場から鞘橋を歩いて内堀を渡り、本丸広場へ。本丸広場から内堀に突き出している立派な石垣が、主を失った天守台だ。
天守台の上に上って、北の方を望む。その先にはすぐ瀬戸内海が横たわっていて、高松城の内堀とは水門で繋がっている。この城が確かに海城であることを実感することができる光景だ。
瀬戸内海に繋がる高松城内堀讃岐にはもう1つ、続100名城に名を連ねる城があるが、既に午後の4時。これからではちょっと間に合わないので、翌日に回すことにする。
この日は、高松からよりもその城にむしろ近い阿波の国(徳島県)の徳島市まで移動。そこで連泊してその城と徳島の城やお遍路の札所を2日かけてじっくり巡ることにした。
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