バス憧れの大地へ

日本100名城

100名城探訪記

北関東100名城(2)―岩櫃城

2024年8月10日

群馬・渋川駅に隣接している宿で朝を迎える。予定の列車は6時50分発だが、宿の朝食は6時30分から。カレーライスに玉子焼き2切れを大急ぎでかき込んで駅へと向かう。
乗った路線は、西へ向かう吾妻線。40分ほどで到着した郷原駅で下車すると、北の空の下に奇岩をむき出しにした岩櫃山が屹立している。
今回目指す名城は、岩櫃城(続100名城No.117)。戦国時代に長野の上田城を拠点としていた真田昌幸が、群馬側の沼田城・名胡桃城とを繋ぐルート上の拠点として、鎌倉時代に建てられたといわれる古城を改修した山城だ。真田氏を描いたNHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングでは岩櫃山の奇岩の上に城の櫓が建てられたかのような映像があったが、別にあの奇岩の上に建てられた訳ではなく、山の東側の一段低い尾根の上に築かれたものである。
岩櫃城には、郷原駅の一つ東の群馬原駅から山の東側の平沢登山口へ向かってそこからアクセスするのが通常なのだが、今回、多少山歩きの心得がある私は、郷原駅からある遺構を巡って、山の真正面から山道を辿って岩櫃城本丸を目指すコースを選んだ。
参考:岩櫃山周辺ガイドマップ[PDF]―岩櫃(いわびつ)~大河ドラマ「真田丸」東吾妻町公式ホームページ~ 岩櫃山
岩櫃山。写真右端あたりの尾根の上に岩櫃城がある
7時35分、郷原駅を出発して岩櫃山と吾妻線に挟まれた「真田道」をまず西へ1㎞ほど進み、Uターンするような形でより山よりの道を東へ進むと、石垣造りの建物跡に行き着く。潜龍院跡と呼ばれるこの遺構も岩櫃城の一部で、真田昌幸は、長篠の戦いの敗戦後下降線を辿っていた主家・武田勝頼をここへ迎え入れて再起を図ろうとしていたが、勝頼の死によって遂に叶わなかった、というエピソードが残る。 真田昌幸が武田勝頼を迎えようとした岩櫃城 潜龍院跡
真田昌幸が武田勝頼を迎えようとした岩櫃城 潜龍院跡
郷原城
郷原城
潜龍院跡からは十二様通り(旧赤岩通り)と呼ばれるルートで、岩山と尾根道への分岐点である赤岩通り分岐を目指すが、その途中にも城跡があるので少し訪れてみる。
郷原城は、岩櫃城の出城の一つといわれる、こじんまりとした城――と言うよりは砦の跡だ。建物の痕跡は無いが曲輪の跡は明確に分かる。
郷原城から更に十二様通りを先に進むが、途中で道が分からなくなってしまった。少し離れた場所に道標があったのでこの方向であることは間違いないのだが、まともに歩ける道がどれなのか、まるで見当が付かない。遭難の恐れすら感じたので、1時間ほど彷徨った挙句、一旦潜龍院跡まで戻って、その横から延びている別ルート・赤岩通りからチャレンジし直すことにした。
赤岩通りは十二様通りよりも分かり易いルートではあったが、急登・岩場・鎖場などの難所が続く中級者以上向けの難コースだった。20分強登って、山頂・岩櫃城・潜龍院跡と3方向に道が分岐する赤岩通り分岐に到着。ここからは標高差の少ない「尾根通り」を辿って本丸に向かうばかりだ。赤岩通りの急登に比べれば楽勝、と思って再び足を動かし始める。
しかし、高低差が少ないのはよかったが、今度はとんでもない「痩せ尾根」で非常に足場がおぼつかない。岩場は避け、左右に滑落しないように慎重に足を進めた。
山登りの経験が浅い人はこの山道に手を出してはならない。
少し遠回りになるが、山に慣れない人が岩櫃城本丸⇔潜龍院跡間を歩くなら、山の下の「真田道」を歩くのが無難だろう。 赤岩通り分岐
赤岩通り分岐
天狗岩
天狗岩
天狗岩と呼ばれる奇岩を過ぎて数分、突如として尾根が広くなった。直感的に「城の曲輪では?」と思ったら案の定、ここが岩櫃城の本丸だった。端の方に「岩櫃城本丸址」の石碑が立っている。来るまでは大変だったが到着は呆気なかった。 岩櫃城本丸
岩櫃城本丸
一段下の二の丸に下りてみると、木々の隙間から遥か遠くまで山々を見渡すことができるが、手前に目を落としてみるとVの字に切り立った横堀が横たわっている。中腹とはいえ岩櫃山という険しい山の上に建つのみならず、このような堀まで備えているとは、まさに鉄壁である。 岩櫃城の横堀
岩櫃城の横堀
下山は、岩櫃城本丸への道として通常使われる平沢⇔本丸のルートを辿る。下りではあったが、登ったとしてもこれまで苦しめられてきたルートに比べれば平地を歩くが如き容易さだろう。
10時12分、今回の城巡りの旅で一番過酷だった山歩きが終わり、ようやく舗装された道路に出た。登山口すぐそばの岩櫃山平沢登山口観光案内所に入り、続100名城のスタンプを頂く。 岩櫃山平沢登山口観光案内所
岩櫃山平沢登山口観光案内所
観音山不動滝
観音山不動滝
平沢登山口からは群馬原駅まで2.5㎞ほど歩くことになる。山の中の道ではあるが、そこまで傾斜のきつい道ではない。
途中、少し道をそれるが、観音山不動滝という自然の名所がある。特に夏には一服の清涼剤になるので、時間があれば訪れたい場所だ。

コメント(0)

コメントする

<新着記事>

Google

WWWを検索a-daichi.comを検索
お勧めメディア(Amazon)
チベットの大地へ