鹿児島・宮崎100名城(4)―飫肥城
2024年5月5日
夕方6時前、鹿児島・志布志から乗車したJR日南線の列車が宮崎・日南市の飫肥駅に到着。駅から歩いて街中に向かうと、川の手前で「是より飫肥城城下町」という石碑が出迎えた。
そう。この街で目指す城は飫肥城(100名城 No.96)だ。
ここ飫肥の地は戦国時代、島津氏と伊東氏との間で争奪戦が繰り広げられ、一時は島津氏の手に落ちたが伊東氏が豊臣秀吉の九州攻めに協力したことから伊東氏の手に戻り、以後明治に至るまで伊東氏が治めた地である。飫肥城は南北朝時代に始まる飫肥の地の拠点となる城で、江戸時代に伊東氏により近世城郭へと生まれ変わる。
飫肥、そして飫肥城には2015年10月に一度来ているのだが、それはまだ100名城スタンプを集め始める前のこと。今回はスタンプを頂くための再訪ということになる。
メインストリートに面する宿に着いたのは18時すぎ。普通ならこの街の散策は翌日なのだが、その翌日の天気予報が生憎の結構な雨。しかしそこは、夏至まであと1か月少しというタイミングと、日本でもかなり西の位置で日没が遅いということ。私はまだ日の光が差している間にできるだけこの街、そしてこの街の城を巡ることにした。
飫肥城下町武家屋敷通り
飫肥城下町の旧武家屋敷飫肥は城と共に城下町も発展して、武家屋敷通りが現代まで残っていて当時の風情を伝えている。
「大手門通り」を北へ進むと、その突き当りにあるのが、道の名前の通り、飫肥城の大手門だ。ここから大小13の曲輪や犬馬場などを有する広大な飫肥城に入城する。
飫肥城大手門大手門をくぐった先の桝形は正面と左側に壁があり、弓矢や鉄砲の窓である狭間(さま)が幾つも開けられている。その1つを裏から覗いてみると、大手門が丸見えである。敵がくぐってきたらここから矢や鉄砲玉で一網打尽という寸法だ。
飫肥城大手門内部の桝形
狭間から覗き見た飫肥城大手門桝形の先の坂を上って城壁に突き当たって右に進むと、その壁の先はヘアピンカーブのように逆向きの坂道になっていて、城の構造はなかなか複雑だ。
飫肥城の登城路
飫肥城本丸への坂道その坂の先にある飫肥城歴史資料館が100名城スタンプの設置場所だが、既に営業時間は終わっている。更にその先にある階段を上ると当時の御殿が再現された松尾の丸があるのだが、こちらも営業時間外だ。かつて新本丸があった場所に建つ小学校を横目に、そのまま24時間入ることのできる旧本丸跡へと向かう。
「飫肥杉」が林立する飫肥城旧本丸石垣の上に広がる旧本丸跡はまずまず広く、そこには何十本もの「飫肥杉」が林を形成していた。前回訪れた時にも感じたのだが、樹齢100年にもなる杉の木、木々の隙間から漏れ込む日光、木々の間を抜ける風、木々の間に生育する苔が心にヒーリングの効能をもたらしてくれる。実際のところ、この旧本丸は「癒しの森」の異名を持つのだ。
旧本丸の北側の端には北の方にあった中之城、北之丸方面に向かう搦手に当たる門が再現されていて、更に風情を出している。
飫肥城旧本丸の裏門
飫肥城大手門横の土塁午後7時。そろそろ暗くなり始めてきたので、大手門横の石垣や土塁を見ながら大手門に戻り、この日の訪問を終わらせる。
しかし、歴史資料館や松尾の丸が営業時間外で訪問できず、100名城のスタンプもまだだ。明日は雨の天気予報だが、もう一度来ざるを得ない。
2024年5月6日
早朝、宿にて起床。外を見ると、天気予報通りの雨だった。
それでも、100名城スタンプを頂くために、この日も飫肥城を訪れざるを得ない。雨は弱まる気配が無かったので、時間配分だけ考えてこの日の飫肥城登城へと動き始めた。
次の城へ向かうために乗る予定の列車は飫肥駅10時52分発。しかし飫肥城の歴史資料館や松尾の丸は9時30分営業開始とのこと。殆どスタンプを頂く時間ぐらいしか無さそうなのだが...。
「おび天本舗」でこの日の昼食と土産に「おび天」を買った後、ひとまず飫肥城大手門そばにある、日露戦争後のポーツマス条約締結や欧米列強との不平等条約改正に尽力した、この地出身の小村寿太郎の業績をたたえる小村寿太郎記念館、旧飫肥藩主が居を移した屋敷である豫章館を訪れる。これらの施設は飫肥城歴史資料館や飫肥城 松尾の丸にも入場できる通し券で入場することができる。
小村寿太郎記念館
豫章館その後、飫肥城に入城。開館時間よりも15分早い9時15分に歴史資料館に到着したが、既に係員がいて、100名城のスタンプを頂いた後、参観。この地を治めた伊東氏について学ぶことができた。
飫肥城歴史資料館その後すぐに、松尾の丸へ。ちょうど開館時間を迎えたところで、内部を参観。勿論再建なのだが、当時の飫肥の殿様がどのように過ごしていたのかを垣間見ることができた。
飫肥城 松尾の丸
飫肥城 松尾の丸内部
中庭から見る飫肥城 松尾の丸昨日訪れた旧本丸も雨の中少しだけ訪れた後、城を後にして城下町の雨の風情や水路を泳ぐ錦鯉の姿などを楽しみつつ、宿に戻る。
雨降る飫肥城城下町
水路を鯉が泳ぐ飫肥城城下町の後町通り10時53分発のJR日南線の列車で、飫肥駅を出発。北上した先に次の城が待っているが、どうやら大雨も引き続き待ち受けることになりそうだ。
コメント(0)
コメントする