ANAのマイルが、羽田から沖縄以外の日本各地を往復できるまでに貯まり、そろそろ賞味期限切れが来る、ということで、ちょっと遠い所へ弾丸1泊2日の週末旅行に出ることにした。
行き先に決めたのは、できるだけ遠くで、しかも「行く」という明確な意図がないとなかなか行かない場所…
ということで、今回の行き先は、
宮崎。
これまで、鈍行列車で九州を縦断したことはあったが、いずれも交通の便がいい熊本経由で、宮崎にはついぞ訪れたことが無かったのだ。
これで、九州で唯一の未到達県だった宮崎に、ようやく足跡を残すことになる。
到着してすぐに、JR日南線に乗って宮崎県を南下する。
天気は生憎の曇り空だったが、途中「鬼の洗濯岩」と呼ばれる岩のゴツゴツとした海岸を車窓の外に見ることができた。
列車を降りた場所が、今回のメインと位置づけていた街だった。
それは、飫肥(おび)。
江戸時代の情緒のある古めかしい町並みが残る街であり、ポーツマス条約締結や不平等条約改正に尽力した明治の政治家・小村寿太郎の生誕地としても知られている。
メインストリートからしてこのように、重厚な白壁の江戸時代的な屋敷が立ち並んでいる。特に重要な建物は内部まで公開されていて、当時の生活をしのぶことができる。
街を南北に貫く大手門通りを北へ進むと、そこにあるのは飫肥城。
江戸時代の伊東家飫肥藩の城は、天守等は残っていないものの、大手門や石垣、そして飫肥城歴史資料館や松尾の丸の展示からもその当時の様子を偲ぶことができる。
当時本丸があった場所にも上ることができたので足を運んでみた。
先述したように、そこに天守や本丸御殿などは残っていない。ただ、石垣の上に樹齢140年という杉の林が生えているだけだった。
しかし、ちょっと階段を上っただけの場所なのに、それまでとは全く違う雰囲気がある。決して人里離れた山奥ではない。なのに、映画『もののけ姫』に登場する木霊でも出てきそうな静寂と、ヒーリングのような空気が流れている。この場所は別名「いやしの森」と呼ばれているらしいが、確かに体いっぱいに癒やしを受けることができる。
武家屋敷通りを通って駅へ向かい、飫肥散策は終了。この日の宿泊先である青島へと北上する。
8月には水戸、会津若松、佐渡を旅行したが、その時もいにしえの雰囲気が残る場所を巡った。コンクリートの建物ばかりと付き合っていると、こういう町並みを時々見たくなるものらしい。