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日本100名城

100名城探訪記

東広島100名城―福山城、三原城、新高山城

2023年10月8日

岡山3日目。
岡山の100名城・続100名城は前日までに制覇していたが、岡山には、広島県東部の三原まで4200円で3日間列車乗り放題の「岡山ワイドパス」というお得な切符があり、初日、2日目と、この切符で城巡りをしてきた。東広島にもこの切符で行くことができる城があるので、この日はそちらを目指すことにする。
まず向かったのは、岡山県境の街・福山市にある福山城(100名城 No.71)だ。譜代大名・水野勝成が西国外様大名への牽制に築いた城で、層塔型5重6階の天守が建てられ、一国一城令発布後に築かれた最後の大規模近世城郭となる。天守は明治の廃城令を生き抜いて国宝に指定されたが第二次大戦の空襲で焼失。現在のものは戦後に鉄筋コンクリートで再建されたものだ。
山陽本線で福山駅に到着すると、駅のホームから早速、福山城の伏見櫓や月見櫓などをすぐそこに見ることができた。実はこの駅、廃城令後に城が荒廃していた中で、三の丸の敷地内に建設されたものなのだ。即ち、山陽本線と新幹線が城の敷地を貫いている、ということになる。 福山城天守
福山城天守
福山城には8時半に到着したが、天守が開館するのは9時。それまで天守を外から眺めたり、本丸の周りを周回したりして過ごす。
本丸広場から見た天守は白壁だったが、北側の背後に回って見ると、北面だけが黒い壁になっている。
これは、福山城の北に堀を築くことができず、防備が弱かったことから北面の壁を鉄板張りにしたためだ。最初に天守が再現された時は北面も白壁だったのが、2022年のリニューアルで再現されたのだという。 黒い鉄板張りが復元された福山城天守閣北面
黒い鉄板張りが復元された福山城天守閣北面
天守から望む福山城筋鉄御門、伏見櫓、鐘櫓。背後はJR福山駅
天守から望む福山城筋鉄御門、伏見櫓、鐘櫓。背後はJR福山駅
一通り回って天守閣前で開場時間を待ち、入城。100名城のスタンプを頂いて、展示を見ながら最上階へ。先程福山駅のホームから見た時とは逆から、福山城と福山駅の位置関係を実感した。

山陽本線で更に西へ。三原駅で下車する。
ここも城跡は駅すぐだ。しかも、福山では駅と城の間に道路が1本通っていたが、ここではそれを通り越して、駅と城跡が直結していて、駅の出口の一つが城跡の入り口になっている。この城もまた明治の廃城令の後、敷地内を山陽本線の線路が通り、城と隣接する形で駅舎が建設されたのだった。 JR三原駅の三原城天守台入り口
JR三原駅の三原城天守台入り口
天守から望む福山城筋鉄御門、伏見櫓、鐘櫓。背後はJR福山駅
三原城天守台上部。背後はJR三原駅
三原城(続100名城 No.172)は、戦国時代、毛利元就の子・小早川隆景が現在の広島県三原市の沼田川河口エリアに築いた水軍施設が始まりの城であり、豊臣秀吉に服従後に福岡へ転封されていた隆景が小早川秀秋に家督を譲った後、三原に戻って隠居城とした城である。満潮時には海に浮いているように見えていたことから「浮城」の異名を持つが、天守台入り口手前の駅の壁にその様子を描いた壁画がある。
駅と直結する三原城の天守台は1辺60m程と、江戸城や大阪城の天守台と比べても大きく、広島城の天守が6つ入る程だという。しかし、ここに天守閣が築かれることは遂に無かった。 三原城天守台
三原城天守台
天守台の上を一巡りした後、一旦三原駅の駅舎内に戻り、駅北口から表に出て、今度は天守台を外側から見る。かつては海に繋がっていた堀に囲まれ、立派な石垣に守られた姿は、その規模も相まって非常に堂々として見える。ここに天守閣が建っていたらどのような姿だっただろうか――想像力がかき立てられる。
天守台を囲む堀を1周し、駅南口の三原観光協会で続100名城のスタンプを頂いた後、再び山陽本線に乗車して更に西へ進む。

次に目指す城の最寄り駅は三原駅の次の本郷駅。僅か1駅なのだが、「岡山ワイドパス」が有効なのは三原駅までなので、ここだけ別料金を支払う必要に迫られた。
駅を出発して、まず近くの本郷生涯学習センターで続100名城のスタンプを頂いた後、歩いて城跡へと向かう。
この地にある城は、街を流れる沼田川を挟んで相対する2つの山の上だ。東岸の山の上にあるのが高山城、西岸の山の上にあるのが新高山城だが、続100名城に選ばれている今回の目的地は新高山城(続100名城 No.173)の方だ。
余談だが、太平洋戦争開戦時に使われた暗号「ニイタカヤマノボレ」の「ニイタカヤマ」は台湾にある玉山のことで、新高山城はこれとは関係ない。 沼田川を挟んで、西側が新高山城、東側が高山城
沼田川を挟んで、西側(左)が新高山城、東側(右)が高山城
新高山城は、小早川隆景が三原城に移る前に小早川氏が本拠としていた城だ。元々は高山城の支城だったが隆景が拡張してこちらが本拠となった。
本郷駅から徒歩20分強で登山口に到着。ここから山道を歩いて、番所跡、匡真寺跡、二の丸などを経て、本丸広場に到着した。 新高山城番所
新高山城番所
新高山城本丸
新高山城本丸
しかし、この城跡で一番見るべきは、本丸の更に先にある詰の丸だ。断崖の上の小さな曲輪で、仏像などが立てられている。 新高山城詰の丸
新高山城詰の丸
新高山城詰の丸の仏像
新高山城詰の丸の仏像
そしてそこからは、沼田川の両側に広がる本郷の台地を一望することができた。沼田川の向こうには高山城の山を見ることもできる。設置されていたベンチに腰掛け、三原駅で買った駅弁を開いて、昼食を取りながらしばしこの絶景を楽しむ。 新高山城詰の丸からの眺望
新高山城詰の丸からの眺望
山に登る前からのことだが、時折「ゴーッ」という轟音が響く。新幹線の通過音だ。実は高山城、新高山城共々、山の下には新幹線のトンネルが通っていて、山の間の沼田川には新幹線橋が架かっている。
即ち、この日訪れた福山城、三原城、新高山城、そして高山城は全て山陽新幹線によって貫かれているということになる。

今回の城巡りはこれで終了。途中、尾道で昨年見て気に入った映画のロケ地を巡礼する寄り道をしてから岡山に戻り、ANA便で羽田への帰途に就く。
広島の方にまだ広島城などの行き残しがあったが、時間の都合で無理だった。次の機会としよう。

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