3度目の塔ノ岳登頂を達成した私だったが、今回はもう少し先に行くため、余裕のあるスケジュールで臨んでいた。
次の行き先は、丹沢山。日本百名山に名を連ねる、丹沢山系の中心的存在である。
時刻は11時5分。塔ノ岳~丹沢山は片道1時間ほどだというので、これならこの日のうちに行って帰って、下山できそうだ。
分岐の看板から、いざ出発。まずは塔ノ岳山頂から、急な木段を下っていく。
そこから先は、暫く緩やかな稜線の道を歩く。
道の両側には、笹薮が広がっていた。葉の外輪はほぼ黄色く枯れていたが、逆にその色のために、『風の谷のナウシカ』ラストシーンの金色の絨毯さながらの様相になっていた。
木が少ないので、眺望は抜群だ。丹沢山系の山々と、その下に横たわる谷の、高と低の対比的な眺望が見事だった。
少々のアップダウンを繰り返すが、あの小丸尾根の厳しい道を歩いてきた私にとっては、楽なものだった。
12時1分。標高1567mの丹沢山山頂に到着。目標達成だ。
こちらの山頂は木々が結構あり、残念ながら眺望はいまひとつだった。
少しだけ休憩して、12時17分、来た道を戻る。
帰り道もなだらかで、気持ちのいい山歩きになった。
しかし、塔ノ岳を目の当たりにすると、往路で木段の傾斜のきつさを知っているだけに、「これを登るのか…」と、少々気分が萎える。
心臓破りの木段を登り、13時10分、塔ノ岳に帰還。
先ほどよりも雲が晴れている。
「これなら富士山見えないか?」
と思ったが…
なぜ、富士山だけ雲の向こうなのだ?
今回も結局、塔ノ岳からの富士山の眺望を拝むことはできなかった。
暫く山頂からの景色を楽しんだ後、13時36分、下山開始。
登ってきた小丸尾根は傾斜がきつく人も少なく、不安が多かったので、帰りは2度歩いたことがある大倉尾根(俗称『バカ尾根』)を歩くことにした。
暫くは、秦野~小田原方面の眺望が見事な道を歩くが…
やがて、木々が深くなり、眺望が利かない、急な下り坂が連続する。
ただ、前々回、前回は傾斜がきつく、下りにくいと感じられていたこの道が、今回はそれ程とも感じられない。慣れもあるだろうが、登山スキルの向上も間違いなくあるだろう。
途中、山桜に気持ちを癒やされるスポットもあった。
このルートは、途中分岐がある。最終的には同じ場所に繋がるのだが、今回はこれまで歩いたことがなかった、テント場~「大眺望」ルートを歩いてみた。
「大眺望」は確かに割といい眺めだったが、山頂からの眺めを既に見ていた私にとってはもの足りなかった。
ひたすら下って、ようやく山道を抜け、麓の舗装道路に出る。
そして、15時56分…
大倉バス停に到着。
今回の登山も、無事完了した。