バス憧れの大地へ

雑記ブログ

2016年GW 平泉

新花巻から移動して訪れた場所は、平泉。奥州藤原氏と源義経ゆかりの街である。20年ほど前に一度訪れたことがあったのだが、素通りするのも勿体無かったので再訪してみることにした。

この街の史跡巡りは巡回バス『るんるん』を400円の1日フリー乗車券で使うのがお得。ただ、最初に目指す場所はバスのタイミングが悪く、歩いて行った方が早かった。
まず訪れたのが、毛越寺。850年に円仁が創建し、奥州藤原氏によって多くの伽藍が造営されたという古刹だ。

毛越寺
自然美と伽藍の見事な調和。
毛越寺の庭園
毛越寺は広い池のある庭園も見どころだ。

そして、『るんるん』に乗って、この街のシンボルである中尊寺へ。これもまた、毛越寺と同時期に築かれ、奥州藤原氏の歴史を見つめてきた証人だ。その中でも一番の見どころまでは、緩やかな山道を上った一番奥の方にある。
中尊寺入り口
その途中にも幾つもの堂が建っているが、いずれも当時の雰囲気を残す、味のある木造建築だ。

中尊寺弁慶堂
平泉で絶命した武蔵坊弁慶を祀った弁慶堂。
中尊寺観音堂
観音堂。

そして、参道の入り口から10分ほど歩いた場所にある、一際立派な寺院が中尊寺の本堂(明治時代再建)だ。
中尊寺本堂
ご本尊は丈六仏(お釈迦様の身の丈が1丈6尺=約4.85mあったという伝承からその大きさで造られた仏像)の阿弥陀如来像。
中尊寺本堂ご本尊

しかし、中尊寺一番の見どころは本堂ではない。その更に奥にある有料エリアこそが、中尊寺のメインだ。
中尊寺金色堂
金色堂
表から見えるのは、コンクリート製の「覆堂」のみで、金色堂はその中で大事に保存されており、内部は写真撮影も認められていない。それだけにきっちりと目に記憶に焼き付けようとしっかりと拝んできた。
この金色堂を見るのはこれで2度目。金色のまばゆさに嘆息したのは以前も今回も同じ。奥州藤原氏の栄華を物語る、平泉随一の歴史遺産であることは疑いない。
しかし今回は、以前には無かった視点があった。
それは、仏様を敬うという心である。
前回ここに来た時、私は信心の無い無宗教だった。しかし2007年のチベット訪問以来、私の内側に仏教への信仰心が芽生え、仏様に対する敬意を育んできた。今回この金色堂に対面した私は、まばゆい金色に目を奪われるのと同時に、いやそれ以上に、お堂の中に並び立つ金色の仏像の柔和なお顔と優しげなたたずまいにもまた心引かれたのだった。その柔和さと優しげなたたずまいは、当時この地でも信じられていた浄土信仰を反映したものなのだろう。

中尊寺の丘を下って、再び『るんるん』に乗り次の目的地へ。バスを降りて階段を上がった先には、北上川が奥州の大地に横たわっている。
北上川
北上川を見下ろす堤の上にあるのが、義経堂。ここはかつて奥州藤原氏の居所・衣川館があった地で、兄である源頼朝と不和となって逃れてきた源義経がここで果てている。その後、江戸時代に伊達藩によって建てられたのがこの堂だ。
義経堂
堂内には、
義経堂義経像
堂内には義経の木像が安置されている。「平家物語」では義経が不細工であったかのような平家方の台詞もあったようだが、なかなかの男前に彫られている。

そして、その近くには松尾芭蕉の句碑がある。そこに彫られている句こそ、あの有名な
義経堂芭蕉句碑
夏草や 兵どもが 夢の跡
この地で栄華を極めながら滅んでいった奥州藤原氏と、平家討伐で名を上げながら散っていった義経に思い詠った名句である。私が訪れたのはまだ春だったが、芭蕉もまた北上川の見えるこの地で、この草生い茂る風景を見ながら歴史に思いを馳せていたのだろう。

それにしても、ゴールデンウィークの平泉はもっと混んでいると思っていたのだが、それ程でもなかった。それどころか、史跡を巡る周回バス『るんるん』の乗客が私1人だけという場面もあった。
震災から5年――「観光で東北支援を」ということが言われているが、まだ観光客の足は戻せていないのかもしれない、と思った。

これで一応、今回の旅の目的は達成。あとは自宅のある川崎まで下るばかりだ。
できるだけ鈍行で下りたいと思い、平泉から新白河まで使うことができるフリーきっぷ「小さな旅ホリデー・パス」で行けるところまで行くことにする。
松島
途中、宮城県の景勝地・松島を通過。

仙台駅
仙台駅でちょっと乗り継ぎ待ち。
仙台みやげ
仙台のお土産。これで宮城も立ち寄ったことにしよう。

福島駅でも乗り継ぎがあったが、待ち時間が短く買い物も満足にできなかった。

郡山まで来たところで、時刻は20時半。頑張れば川崎まで鈍行で帰ることも可能だったが、翌日仕事だったこともあり、ここで鈍行にこだわり続けるのは断念。郡山から大宮までだけ、新幹線を利用した。
22時50分、川崎駅に到着。青森、岩手を中心に、秋田、宮城にも足跡を残した足掛け1週間の旅が終わった。

今回は、青森が初めての訪問だったこともあって、青森で随分時間を使ってしまったが、東北エリアで未到達の県はあとは山形だけだ。
次の機会には、山形を絡めて再び鈍行での東北縦断に挑戦してみるかな?


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