午前中は、新花巻駅近くの宿から徒歩圏内の場所を訪れる。
花巻と言えば、彼の地で生まれ育った宮沢賢治。新花巻駅前にも「セロ弾きのゴーシュ」のレリーフがあったりもした。
新花巻駅から国道456線に出て、釜石線の踏切を渡り、釜石自動車道をくぐり、歩くこと約20分。賢治ゆかりの施設が集まったエリアに行き着く。目指す場所は、ここから更に階段を上った先の丘(胡四王山)の上だ。
階段には1段1段に平仮名が書かれていて、続けて読むと賢治の詩の代表作「雨ニモマケズ」になる。
階段を上った先にはまず、「注文の多い料理店」をモチーフにしたレストラン「山猫軒」がある。
その先にあるのが、今回の目的地である宮沢賢治記念館だ。
この記念館は賢治の関心の対象であった各方面の科学・芸術にスポットを当てたものだった。童話的なファンタジーの世界という雰囲気とは違うが、彼の博識ぶりと、その知識がいかに童話にちりばめられているかを知ることができる。
そんな中、作家としての賢治の作業を垣間見ることができたのが、「銀河鉄道の夜」ができるまでを追った展示だった。構想から作品の完成に至るまでいかに紆余曲折があったかを窺い知ることができ、文学作品を作るということがいかに大変な作業なのかがよく分かる。
記念館のバルコニーからは、花巻の街を一望することができた。
先ほど上ってきた階段を下りてすぐの場所にあるのが、宮沢賢治童話村だ。幾つものコテージで、賢治の童話にも垣間見える花巻の自然に関する展示が行われているが、ここの売りは何と言っても「賢治の学校」だ。「ファンタジックホール」「宇宙」「天空」「大地」「水」の5つのゾーンで、賢治の童話の仮想世界「イーハトーブ」を幻想的に感じることができる。
動画『宮沢賢治童話村 賢治の学校 大地の部屋 』
(YouTube)
このエリアには他にも花巻市博物館があったが、時間の都合でパス。花巻を後にして次の目的地へと向かう。
ところが、新花巻からはJR釜石線で花巻に出て、そこから東北本線に乗り継ぐ予定だったが、こともあろうに釜石線が強風(花巻は全く問題なかったのだが)のため運転見合わせとなってしまっていた。バスで花巻まで移動しようかと思いもしたがバスの本数が思いの外少ない。結局、東北新幹線と東北本線が交わる北上まで新幹線で行くことに――できれば今回は鈍行を使い続けたかったのに、どこかで吹き荒れている風がうらめしい。