新青森から、列車で弘前へ移動。
道中、車内から富士山にも似た円錐形の見事な山が見えた。「津軽富士」とも呼ばれる弘前の名山・岩木山である。残念ながら、頂上に雲がかかっていて全貌を見ることはできなかった。
ここまで北に来ると、桜前線の到達が南の方と比べてかなり遅くなる。ここ弘前でも、5月5日までを会期に「弘前さくらまつり」が行われている。
弘前城のある弘前公園に向かう道中でも、お堀の桜が目を楽しませてくれた。
何でも、前日の気温が30度にもなったということで、ソメイヨシノは9割方、葉桜になってしまっていた。とはいえ、しぶとく花を残している木もあるし、八重桜あたりはまさに今が見頃だった。
弘前城は津軽氏によって建てられた江戸時代の天守閣や櫓が現存する重要文化財だが、修理が必要であることが判明し、昨年(2015年)、天守閣を丸ごとジャッキアップして「曳家」を行い、3か月かけて35m離れた仮天守台に移動させられたという。何ともスケールの大きな話だ。そう言えば、通常天守閣というと石垣の上に築かれているが、この時見た天守閣は第1層の白壁がそのまま地面に繋がっているかのようだった。
追手門からちょっと城外に出てみる。
お堀の隅の方に散った桜の花びらがたまって、見事な「花筏」になっていた。
弘前城から南へ15分ほど歩いた所に、禅林街という場所がある。両側に杉並木が植えられた一直線の道路沿いは全てが仏教寺院という、寺社好きにはうってつけのヒーリングスポットだ。
(禅林街のほか、南の方に『新寺町寺院街』という場所もある)
禅林街の一番奥にたたずむのが、長勝寺。何やら随分年季が入っているが、それもそのはず。江戸時代初期に創建されたという古刹なのである。
更に″歴史”を追い求めて、今度は弘前城の北へ。お堀から一筋外の仲町伝統的建造物群保存地区を訪れる。武家屋敷のような古い建物がずらりと並んだ――光景を想像して行ったのだが、そういった建物は数件しか無い。
近くの「津軽藩ねぶた村」で津軽そばとイクラ丼の夕食をとった後、再び弘前城へ。普段なら17時になると閉ざされる(有料区域)のだが、「さくらまつり」の時期は21時まで開いているのである。
この時間にここへ来たお目当ては、勿論…
夜桜。
夜空の黒に、天守閣の壁の白と、桜のピンクや白が映える。