青森から、青い森鉄道とJR大湊線(観光列車『リゾートあすなろ下北』利用)を乗り継いで、本州最北端の駅であるむつ市の下北駅に到着。
青い森鉄道
リゾートあすなろ下北
予定では、一旦むつ市中心部の宿に入って、それから次の目的地へと向かおうと思っていたのだが、列車を降りるとすぐにその「次の目的地」へ向かうバスがまさに出ようとしていた。
ここは予定変更。大きな荷物はどこかで預かってもらうことにして、私はその場所へ直行することにした。
バスに揺られて約35分。視界に大きな湖(宇曽利湖)が開けるとともに、突然硫黄の臭いがバスの車内まで伝わってきた。
その硫黄のせいだろうか。湖も、水の色なのか湖底の色なのか分からないが、青ではなく黄色がかった色をしている。
到着した場所は、恐山だった。日本有数の霊場であり、霊を呼び寄せてその言葉を伝えるという「口寄せ」を行う巫女・イタコで有名な地だ。
本堂や塔婆堂、地蔵殿などの建物が立ち並ぶエリアを過ぎると…
塔婆堂
地蔵殿
ごつごつとした岩場、硫黄臭さ、湧き出る温泉、硫黄に染まった湖底で黄色くなった湖――それは「地獄」という言葉を聞いたらこういう光景を思い浮かべるだろう、という典型だった。
硫黄が流れた跡か。黄色い「川」が見られた。
実際に、「○○地獄」と名付けられた場所が幾つもある。
鎮魂のお地蔵様や観音様等もあちこちに。
幼子の魂を鎮める風車。
歩いているうちに、向こう岸に立派な山々が並ぶ宇曽利山湖のほとりにたどり着いた。
湖畔には「震災慰霊塔」があった。東北の震災の折に造られたのだろうが、最近でも熊本で大震災があったばかりだ。それに、私には他に、焼身抗議をして死んでいったチベット人という「鎮魂」の対象があった。震災によって亡くなった方々、侵略によって亡くなった方々――私はそれらの人々のために、「鎮魂の鐘」と「希望の鐘」を順に鳴らした。
霊場を少し離れた場所には、「三途の川」と呼ばれれる場所があり、木製の橋が架けられていた。ここを渡るとそこは霊の世界、ということだ。
さすがにここは「楽しむ」という感覚ではなかった。
写真を撮るにしても、仏様やお地蔵様への敬意と、死者への畏敬の念を忘れないように心がけた。