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【レビュー】映画「風の馬」(ポール・ワーグナー 監督)

<3月10日>
映画「風の馬」「雪の下の炎」プレミア上映会のレビュー、次は「風の馬」です。

 

1998年。幼い頃祖父を中国人に殺された兄妹はラサにいた。兄のドルジェ(ジャンパ・ケルサン)は職にも就かず、酒びたりの毎日を過ごしていた。妹のドルカ(ダドゥン)はナイトクラブで歌う歌手で、中国人の恋人の協力でスターへの道を歩んでいた。ある日、2人のいとこの尼僧・ペマ(女優名不明)が、当局の宗教弾圧に反発してバルコルの人だかりの中「チベットに独立を!」と叫んで拘束されてしまう。ぼろ雑巾のような姿で釈放されたペマを見た2人は・・・

 

この映画は、2つの実話を基に1998年に創作されたドラマですが、

 無差別の殺戮、伝統的な町並みの破壊、同化、洗脳、
 宗教弾圧、言論弾圧、監視、拷問、検閲、密告、亡命・・・

チベットのありとあらゆる問題が、そこには織り込まれていました。

ペマの「チベットに独立を!」という言葉、ダライ・ラマの写真を祭壇に飾ることに固執するドルジェとドルカの祖母の姿は、チベット人の心の内を代弁するものでした。

一番心が痛かったのは、この映画が11年も前に創られたものであるにもかかわらず、そこに表現されている当時のチベットの状況から現状が全く変わっていないことです。
この映画の内容が「過去のもの」になる日はいつ来るのでしょうか。

<予告編>

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