メキシコシティ-2 ~侵略者に踏みつけられた遺跡と「メキシコの歴史」
2016年10月18日
この日はメキシコシティ3日目だが、早くもメキシコシティ最終日でもある。初日、2日目はテオティワカンやプエブラといった郊外を訪れていて肝腎のメキシコシティ市内はまだ余り見ることができていない。この1日で市内の名所を時間の許す限り巡ることにする。
まずは通勤時間と重なって激込みのメトロを乗り継いで、トラテロルコ駅で下車。そこから歩いて、駅名にもなっているトラテロルコ遺跡を訪れる。
トラテロルコ遺跡
ここはアステカ帝国の遺跡だったが、メキシコシティがスペインの侵略を受けた時にここが最後の砦になったという歴史を持つ。その時の残骸で築かれたのが、現在遺跡の背後に建つサンティアゴ教会だ。現代の高層住宅も重なって見えるので、「三文化広場」などと呼ばれているようだが,、何のことはない。要はこれも「侵略者に踏み潰された爪痕」ではないか。
破壊された基壇の上に建つサンティアゴ教会
再びメトロを乗り継いで、中心部のソカロ地区へ。(2日前にもちょっと訪れていたがその時の様子は省略していたので、今回が初めての詳細な記述となる)
まず、カテドラル(大聖堂)の中をちらりと訪れる。「カテドラル」と呼ばれる教会はメキシコの各都市にあるが、さすがに首都のものは一際立派だ。規模は大きく、外観も内部も荘厳としている。
メキシコシティのカテドラル
カテドラル内部
遺跡の廃墟の上に教会が建てられている光景に眉をひそめる私だが、キリスト教そのものは決して嫌いではない。忌み嫌うべきは「侵略」だ。この素晴らしい宗教が侵略の具として使われてしまったのは、不幸としか言いようがない。
国立宮殿
すぐ近くの国立宮殿も中を見に訪れる。これもアステカ王の居城をスペインの侵略者・コルテスが破壊して建設したもので、「侵略の爪痕」であることには変わらないのだが、一見の価値があるものがあるということなので行ってみた。
入場は無料だが、外国人は地元民とは別の入り口から、パスポートを預けた上で入場することになる。
「一見の価値があるもの」というのは、1階から2階に上がる階段の壁、そして2階の壁の一部に描かれた「メキシコの歴史」の壁画だった。古代王国の時代からメキシコ革命に至る歴史が、おびただしい数の人でびっしと埋め尽くすように描かれている。スペイン人の軍人や騎士たちが現地の人々をなぎ倒す「侵略」の歴史もきっちり描かれていた。
壁画「メキシコの歴史」
この「歴史」の先にある現在では、侵略された人々(の子孫)と侵略した人々(の子孫)が共存し、混血も進んでいる。但し、従来この地にあったはずの信仰は姿を消し、専らキリスト教が信仰されている。
私が思いを寄せるチベットもまた、外国から言われなき侵略を受けている国だ。但し、チベットは未だ独立を回復できず、「侵略された人々と侵略した人々が共存」とは程遠い差別と格差の社会となっている。
チベットの将来は、一体どうなるだろうか? そしてチベット仏教は、チベット本国で生き残ることができるのだろうか?
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