台北-7 ~オールド・タイペイ
2013年1月5日
高雄の街中(バス車内から撮影)
翌6日が旅の最終日となるため、高雄から一路台北へと戻る。新幹線という選択肢もあったが、やはり自分の旅のスタイルを考えると高速バスでの移動となった。高雄から台北へのバスは、高雄駅の向かって右側の道路沿いで高速バス各社が競うようにして運行させているので、ここで良さそうな会社・バスを品定めして乗るといい。
朝の8時すぎに高雄を出発して、台北には昼すぎに到着したが、来た時同様、宿探しが難航した。台北駅周辺にある手頃な値段のゲストハウスがやはりどこもFULLなのである。やっとのことで、台北駅からMRT(地下鉄)で駅一つ東の善導寺にあるTaipei Hostelで、台湾最後の一夜の宿を確保することができた。
かつて孫文が暮らした「国父史蹟紀念館」
台湾最南端に到着したことで取りあえず今回の台湾訪問の目的は達成しており、あとは特に目的も無い。ガイド本の地図を見ながら、14年前の訪問を懐かしみつつ、当ても無く台北の街をぶらりと歩き回ることにする。
ビルディングが建ち並ぶ台北駅一帯の一角にひっそりとたたずむ日本風の一軒家――台湾を領有する中華民国の建国者で“中国革命の父”である孫文ゆかりの史跡・国父史蹟紀念館だ。この質素感が、孫文という人物の人となりを表しているのかもしれない。
孫文は中国革命の牽引者として確かに尊敬に値する人物である。それは間違いないだろう。しかし、彼の「五族共和」という、満洲・ウイグル・チベット・モンゴルの諸民族を漢族と同化させるべきたとの考え方は、チベットに心を寄せるようになった私にとっては到底受け入れられないものであり、ここ数年の間で私は孫文に対しかつてほどの敬意を抱けなくなっている。
レトロな薫り漂う迪化街
若い女性の参拝客が多い霞海城隍廟
台北駅は台北市の中正区・中山区・大同区がちょうご分岐する地点に位置しているが、少し歩いて北西の大同区の方に行ってみる。
MRT中山駅から西へ約1km進んだ所に、街中とは雰囲気を異にしたレトロな薫り漂う迪化街がある。この界隈は清代の建物が残る商店街だ。
このエリアの一角に、若い女性が長い線香を手にお祈りする姿の目立つ廟があった。霞海城隍廟というこの廟は、縁結びの神様が祭られているらしい。なるほど、それならロマンスを求める若い女性の参拝客が多いのもうなずけるが、良縁を求めるのは何も女性の専売特許ではない訳で、男性の姿も多少見ることができる。
台北の城壁の痕跡・承恩門
この廟が縁結びの社になったのは20世紀後半のことだという。確かに、この街が発展した清代は女性が纏足で自由を奪われていた時代であり、当時の女性たちが自由に縁結びの神様をお参りしていたとは思えない。この風景は、中華民国の女性が解放された象徴だと言っていいのかもしれない。
迪化街から東西の座標はそのままに南へと下っていくと、ここにも古き台北の痕跡があった。石組みの土台の上に鮮やかな赤い壁が載っている承恩門は、清代に台北を囲んでいた城壁の唯一の生き残りだという。
期せずしてこの日の日中は、古き良き台北を巡る散策という格好になった。
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