カトマンズ‐2 ~タメルに“帰還”
ドゥリケルからカトマンズに到着。ネパールに来て3日目になるが、カトマンズ市内の地面を踏んだのはこれまでのところ空港でのみだった。ようやく、首都中心の地をこの足で踏みしめることができた。
最後の1泊の宿は、勿論、バックパッカーの聖地であるタメルでとる。5年前にも10日間を過ごしたタメルに着いた瞬間、懐かしさがこみ上げてきた。タメルに来たことは私にとって単なる“到着”ではなく、“帰還”と言っても大袈裟ではなかった。
私たちの宿となったホテル・レッドプラネットは1人1泊400ルピーだったが、その時私が感じたのは「タメルのゲストハウスでは安い部類に入らないのではないか?」ということだった。何せ、5年前にここタメルで泊まったホーリーランド・ゲストハウスのドミトリーは80ルピー、ムスタン・ゲストハウスのシングルは150ルピーしかしなかったのだから、そう感じるのも当然のことだ。
しかし、ここに至るまで私は大きな勘違いをしていた。ネパール・ルピーの価値を5年前の相場と同じ感覚で考えていたのである。5年前の相場は、1ネパールルピー≒1.9円、そして、2012年9月の相場は、1ネパール・ルピー≒0.92円――何と、2倍もの対ネパール・ルピー円高になっていたのだ。そのレートで換算しても400ルピーというのは5年前のムスタンより確かに割高ではあるが、よく考えれば日本円にして400円にも満たないのである。これを「割高」などとぼやいていては泊まれる宿が無くなってしまう。
この日の夜で帰国するメンバーもいたので、タメルでの時間は自然とショッピングタイムになった。タメルは土産物屋が多く、衣類、小物などさまざまなジャンルの買い物をタメルで完結させることができる。
しかし――ここで、今回の旅最大にして唯一のトラブルが発生した。
「あれ、ビデオカメラが無い!」
つい先ほどまでビデオカメラを持っていたはずのマコトが言う。どこかに忘れたのか、いや、盗まれたのかもしれない。マコトが回った店を1つ1つ回ってみたが、見つからない。やはり、盗まれた可能性が高い。
幸いにもマコトは海外旅行保険に入っていたので、明日の朝一番にでも警察に行って盗難届を出してもらうことになった。
全員揃っての最後の夕食後、5人が一挙に帰国の途に就いた。残った6人も明日には最高でも2、3人単位での行動となる。1人ひとりの旅はまだ日本に帰り着くまで終わらないものの、みんな揃っての旅はそろそろ事実上の終了だ。
冒頭でも書いたように、これだけ大勢の仲間と計画的に行動を共にした海外の旅は今回が初めてだった。素敵な仲間たちと、素敵な旅、素敵な経験ができたことは一生ものの財産になることだろう。1人旅もいいが、こういう賑やかな旅も悪くない。
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