ダラムサラ(6)~タンカを描く人
2011年10月 9日
未明。この日は流星群を見ることができるというので夜遅くまで頑張ったのだが、夜空には分厚い雲。辛うじて見えていた月もやがて雲にのみこまれ、「星にFree Tibetの願いを」とはいかなかった。
夜が明けて目が覚め、昨夜のことを思い、「今日も曇りかな」と思いつつ宿の屋上に上がってみたら・・・
ダラムサラに来て一番の青空。
雲よ、なぜもう6時間早く晴れてくれなかったのだ・・・
恒例となった朝のコルラ道・ツクラカン巡礼中も汗ばむほどの陽気となった。
昼前、その陽気に誘われるようにして、マクロードガンジから更に山奥に入った所にあるパグスの滝へふらりと出かける。
パグスへの途中、タンカ(仏画)を売る露店が開かれていた。露天の横では、チベット人の女性が今まさにタンカを描いている。
「(露店に並ぶタンカを指差しながら)これ、全部あなたが?」
「はい」
優しそうな若いタンカ絵師が笑顔で答える。
「これが仏陀、これが曼荼羅、これがグル・リンポチェ、これが医学・・・」
並んでるタンカを指しながら一つ一つ解説してくれる。
値段と大きさによっては買ってもいいかな?とふと思った。
「小さいのがいいな」
「じゃ、これはどうですか?」
「うーん、ちょっと大きくて、このバッグに入らないかも」
「大丈夫。巻けば入りますよ」
どうやら、紙ではなく絹の布に描かれているらしい。それなら折れ曲がってしまう心配も無い。
「じゃ、これ幾らになります?」
一番肝心な話に入る。
「えーと――800ルピーになります」
げっ、思っていたよりもはるかに高い。
「これは本物の金を使っているので」
見ると、確かに金粉が使われている。
「こちらなら金粉を使っていないので、500ルピーになります」
どちらにしても、個人的に1ルピー=10円という感覚でやっているので、衝動買いするにはちょっと厳しい。申し訳ないが、もう一度よく考えてからにすることにした。
いずれにせよ、こうしてチベット文化が脈々と受け継がれていくのだな、と実感できた。
そして、こうして絵を売ることで、彼女は今後の鍛錬、材料購入、生活の費用を得て、その文化の継承の役割を担っていくことになる訳だ。
そう考えると――やっぱり買ってあげたいな。財布と相談・・・
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電気猫様
お返事するのをすっかり忘れていました…
> そこにおられた方で、夜のバス乗り場のキャンドルビジルで、一眼レフを持った方と少し話しましたが、もしかしてそれがカズさん?
まさにその通りです! 何と、あの時の方でしたか。
>デモの日の昼にルンタにいたということは・・
私は、窓際の小上がりのテーブルで食べてましたが、他にも日本人のお客さんが5~6人おられました。
カズさんもその中におられたんですね。
そこにおられた方で、夜のバス乗り場のキャンドルビジルで、一眼レフを持った方と少し話しましたが、もしかしてそれがカズさん?
電気猫様、タシデレ!
たくさんのコメントありがとうございます。
同時期にダラムサラにいらっしゃったのですね。
あれ? ブログ拝見しましたが、デモの日の昼にルンタにいたということは、お会いしてますか?(健忘症)
> 横で本格的に描いていたので、思わず見入ってしまいました。
私もそうでした。自分で描いているものを売っているとなると、俄然興味もわきますよね。しかもあの腕前となると見入ってしまいます。
次の機会にはぜひご購入を! 私が彼女をおしゃべりしている間にも、リピーターの方がお友達を案内して来ていました。
タシデレ。
カズさんが会ったこの女性タンカ絵師に、この5日後に私も出会いました。同じくバグースの滝へ行った時です。
一見また土産物かと、通り過ぎてかけてよく見ると横で本格的に描いていたので、思わず見入ってしまいました。
腕前も中々のものでしたね。
来年もここにいたら、買いたいと思います。