アテネ-7 ~ギリシャ料理に舌鼓
アテネに戻って宿で少しばかり休んでいるうちに、空は晴れてきた。結局、今回の旅で雨に見舞われたのはメテオラ巡りをした昨日とこの日だけとなった。
買い物をしようと宿を出たところで、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
「お~い!」
と声をかけて振り返ったその顔は、思った通り、メテオラで行動を共にしたチエコだった。この日午前のバスでアテネに入ったようだった。
「そうそう、あの後行った(カランバカの)11世紀のビザンティン教会、中に入ったんですけど、壁画がすごく良かったです。すすけているのを修復もせずに、昔のままの姿が残っていたんですよ」
あの教会、中はそんな風になっていたんだ ―― タイミングに恵まれず中へは入れなかったことがあらためて残念に思われた。
夜はチエコと、宿で同室のヨウスケを誘って近くのタベルナで夕食。2人以上で食事をするのは今回の旅で実にこれが初めてとなり、そして同時に、最後の1回となった。
ギリシャでの"最後の晩餐"
先日のハニアでも食べてすっかり気に入ったカラマリア(イカの唐揚げ)をはじめ、バカリャロス・ティガニトス(干しタラのフライ)、ギロス(ケバブのようなそぎ落とし肉)を注文。特にイェミスタ(トマトの中にご飯を詰めて焼いた料理)は、トマトの甘酸っぱさと中のご飯の味付けされたハーブの香りが口の中でふわっと広がってくる味が気に入った。
ギリシャ料理に舌鼓を打ちながら、旅談議に花を咲かせる。チエコは初のオープンジョー航空券でトルコから入ってギリシャへと抜ける旅を、ヨウスケはシンガポールからドイツへと4か月かけて向かう旅の途中だった。行程はそれぞれだが、2人に共通していたのはこの日パルテノン神殿に行って大雨に見舞われたこと(私の時はすっきり晴れていて本当に良かった)、そして、
「ここまでの旅ではパンとかで食費をかけずにきていました。こんなにいい食事をすることは殆ど無かったです」
ということだった。
金の無い学生さんや長期旅行者なら、そう頻繁にいい食事ができないのも自然なことである。しかし、私の中では
「“バックパッカー”とは必ずしも“貧乏旅行者”とは限らない」
という考え方が確立していた。勿論、私もできるだけ安上がりに済ませたいと思いながら旅をして、宿なども安い所を探して選んでいる。しかし、余りに貧乏臭く過ごしすぎても味気が無い。特に、今回は短期旅行でギリシャの「食」を楽しむ機会は限られてくる。
「楽しむべき時には楽しもう。食べたい時には食べよう」
―― ということで、今回の旅では結構食事にお金をかける結果となった。特にこの日の夜は、明日の夕食が機内食となってしまうので、ギリシャでの“最後の晩餐”となる。その最後の晩餐を、美味しく、賑やかに過ごすことができたのは実に幸運だった。
そう。明日がギリシャ最後の1日となるのだ。最終日は、飛行機の時間ぎりぎりまでアテネ近郊の歴史ある場所を巡ることになる。
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