バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ギリシャ、カタール、香港

メテオラ・3 ~メガロ・メテオロン修道院、ヴァルラーム修道院

2011年5月4日

先にチェックアウトを済ませるためバックパックを持ってフロントに出てくると、昨日エレベーターで一緒になった日本人女性が朝食をとっていた。そう言えば、この宿は朝食付きだった。私もチェックアウトを済ませるとすぐに、彼女と一緒に朝食にありついた。
「今日はメテオラまでのバスが運休みたいですので、よろしかったらタクシーをシェアしませんか?」
ありがたい申し出だった。バスが運休ならその方がいいだろう。この日のメテオラ巡りは、チエコというその日本人女性と行動を共にすることになった。
メガロ・メテオロン修道院
メガロ・メテオロン修道院
念のため宿の近くのインフォメーションセンターで確認したところ、やはりバスは運休とのことだった。近くで路駐していたタクシーの運転手にメガロ・メテオロン(メタモルフォシス)修道院までの料金を尋ねたところ、9ユーロとのこと。どうやらこれが相場らしかったので、1ユーロのチップをプラスした10ユーロで行ってもらうことにした。

道すがら、運転手から簡単なメテオラの解説を受けつつ、カストラキの街を経由してメガロ・メテオロン修道院に到着した。
暫くは外から眺めるが、やはり奇岩の上に建つ修道院の姿は壮観であり不可思議だ。メテオラ初日のチエコは特に興奮気味にテンションを上げていた。
そして、いざ内部へ。修道院までは階段を上らなければならないが、昨日訪れたアギア・トリナダ修道院ほど急傾斜ではない。
入り口で、チエコはレンタルの巻きスカートを借りて腰に巻く。女性がメテオラの修道院に入場する際には丈の長いスカートをはくことを要求されるのだ。女性にとってはちょっと面倒である。

修道院の中庭
修道院の中庭
修道院の生活がしのばれる展示
修道院の生活がしのばれる展示
ドクロが並ぶ納骨堂
ドクロが並ぶ納骨堂

修道院内部はちょっとした博物館になっていた。かつての修道院の生活がしのばれる部屋や道具の数々が公開されていて、14世紀創建という歴史の深さを感じさせる。中には無数のドクロがむき出しに並べられている納骨堂もあり、慣れていないとギョッとさせられるかもしれない。
ヴァルラーム修道院
ヴァルラーム修道院
きれいに整えられた中庭に出ると、周りの景色を一望することができる。眼下にはカストラキの街を、すぐ隣にはヴァルラーム修道院を見ることができる。

次に、そのヴァルラーム修道院を訪れる。細長くかなりの高さがある岩山の上に建っているが、隣接する山からかなり高い位置に橋が架かっているため、入場してからの高低差はそんなに無い。
先程訪れたメガロ・メテオロン修道院が余りに素晴らしすぎてかすみがちだったが、こちらの修道院もレベルは高い。白亜の立派な鐘楼や美しいイコンなど、見るべきものは少なくない。周りの風景も良く、アギア・トリナダ修道院からは死角になって見えなかったルサヌー修道院をここからは見ることができる。
中でも気になったのが、エレベーターだった。エレベーターとは言っても人が乗れるような代物ではなく、専ら荷物を上げ下げするためのものとみられる。今でこそ電動モーターで動かしているようだが、電気の無かった昔は恐らく、滑車だけの人力で上げ下げしていたのではないかと想像できる。

ヴァルラーム修道院を出たところでこの日1つ目の“壊れ系”トラブルが発生した。長年愛用してきたリュックサックのメイン部分のファスナーが壊れてしまったのだ。カタールにいた5日前あたりから怪しかったのだが、ここにきてとうとう修復不能となってしまった。幸い、ノートパソコン用のスペースとカメラ用のスペースのファスナーはまだ無事だったので、メイン部分に入っていた物を全部それらのスペースにねじ込んでしのぐことにした。

ヴァルラーム修道院のエレベーター
エレベーター、稼働中
メガロ・メテオロン修道院のロープウェイ
ロープウェイ、稼働中

荷物を入れ替えつつヴァルラーム修道院の方に目をやると…
「あ、動いている!」
先程修道院内で見かけたエレベーターが、するすると上がって行くではないか。エレベーターだけではない。10分ほど後には、メガロ・メテオロン修道院へと続くロープウェイが動いているのも見ることができた。
自然の地形が厳しい中で人の知恵を駆使しながら生きているのである。それはエレベーターやロープウェイにばかり言えることではなく、これらの修道院がこうした地形の場所に建てられたこと自体が、人の知恵の証しなのだ。

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