メテオラ・2 ~アギア・トリナダ修道院
アギア・トリナダ修道院の石段は想像に違わない急傾斜だった。しかし、苦労して上った先には絶景があるのが常である。ご多分に漏れず、修道院の南に目をやると箱庭のようなカランバカの町並みが、北に目をやると奇岩、そしてその上にヴァルラーム修道院やアギオス・ニコラオス修道院などが建つ大パノラマの風景を見ることができる。同じ場所からの風景でも、町並みを見ていると人の営みなんてちっぽけなものだな、と思え、奇岩の風景を見ていると自然の営みは壮大だな、と思えてくるから不思議なものだ。
アギア・トリナダ修道院
箱庭のようなカランバカの街
奇岩と修道院が織りなすメテオラの大パノラマ
一方、修道院本体の方は規模も小さく、内装も壁画等あるものの余り印象に残っていない。やや周りの風景に食われてしまっている格好だ。
それよりも、渇きが限界に近づいている。とにかく、水が欲しい。期待していた売店も見当たらなかったが、中庭に
「さあ、お飲み」
と言わんばかりに蛇口が設置されているのが目に入った。
このささやきは、天使の声か、悪魔の声か ―― どっちだって構わない。多少お腹がゆるくなったって知ったことか。私は蛇口をひねり、そこから噴き出す甘露の水で存分に渇きを癒した。
(結論から言うと、腹の調子が悪くなることは全く無かった)
帰りのトレッキングコースで見たメテオラの奇岩
気がつけば午後5時になっていた。帰りもトレッキングコースを歩いて下りることになるので、そろそろ日没が気になる。続きは明日に回すことにして、今日のところは引き揚げよう。
カランバカに向けて南へとトレッキングコースを進んでいると、夕焼けにはならないものの、まばゆい西日が右側から降り注いでくる。右手にそそり立つ奇岩が、西日を背後から受けて幻想的な逆光の風景を創り出している。
上りは30分かかった道を、帰りは写真撮影で寄り道しながらも25分で下りることができた。
日没を気にしつつ下りてきたが、まだまだ明るい。それもそのはずで、この季節のギリシャはサマータイム。普通の感覚よりも1時間時が来るのが遅かったのだ。
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