金山嶺長城 ~“天然”の長城(1)
2007年2月20日
朝の6時前に起床。昨日の足の痛みはかなり引いていた。
この日は日帰りツアーで6時半にロビー集合。まだ同室の宿泊客が寝ている中、なるべくひっそりと部屋を出た。
昨日知り合った日本人女性3人組とは、私が出かける前にYH周辺の胡同を散歩しようかと話していたが、生憎まだ外は暗かった。散歩はやめにしてロビーで暫く談笑していた。
6時半。予想以上に大勢のツアー参加者が集まった。私以外は皆欧米人で、1人東洋系の女性がいたが彼女も国籍はフランスだった。
いよいよ、ツアーに出発。お互いに「よい旅を」と声を掛け合って、この日のうちにフランスへと発つ日本人女性3人組とはここでお別れとなった。
私が参加したツアーは、金山嶺長城及び司馬台長城に向かうものだった。
これらの長城は、以前行った承徳への道の途中にあり、バスは見覚えのある道を走っていく。自力で行くのは面倒なのでツアーに参加するのが便利だが、このコースは欧米人バックパッカーに人気があり、欧米人が多く集まる遠東YHからは運良くツアーが出ていたのだ。
3時間ほど走って、金山嶺長城に到着。当初は司馬台だけ見られればいいと思っていた私だったが、続々とバスを下りていく参加者たちにつられて、折角だから金山嶺にも行くことにした。
金山嶺長城。未修復で壁の無い部分もある
金山嶺長城は明代に造営された長城で、険しい山の尾根沿いに50kmも続いている。
今回歩いたのは勿論、その一部に過ぎないのだが、それでもハードなコースであることには変わらない。時には45度を超えるほどの急傾斜もあり、階段を歩くというよりはよじ登る必要がある場合もある。
こんな急傾斜も
上る時は勿論、下る時も気を遣わなければならない。
ある欧米人がこの急傾斜を"bad boy(くそガキ)"と表現していたが、その気持ちはよく分かる。私も時折、この長城の余りのきつさにそんな罵声を上げたくなるような気持ちに襲われた。
歩いている間はそんな苦労ばかりが先立つが、足を止めてどこまでも続く長城の光景を見ていると、疲れた気分が洗われる。
この長城は未修復で、壁が崩れ落ちた所や階段が崩れて平らになった斜面もある。歩きにくいのは確かだが、見ている分には、変に修復された長城よりも、こうした“天然”の長城の方が、歴史を感じることができて私は好きである。
しかし、そんな余裕も少しずつ削り取られていく。昨日の足の疲れもまだ残っており、急斜面を登っていると息切れがしてくる。
以前は健脚が自慢で、今でもそのつもりでいたのだが、さすがに年と最近の運動不足と体重の増加は誤魔化すことができない。