バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

東トルキスタン、大陸中国西北

天池 ~天界に一番近い湖

2002年8月1日

大都会ウルムチの近郊にも、天池南山牧場1号氷河など、自然を楽しむことのできるスポットはある。私はそのうち、街の90km東にある天池を訪れることにした。

早朝、市内の人民公園北門からツアーバスに乗車し、天池へ。観光シーズンとあって、現地の駐車場はバスでいっぱいであり、リフト乗り場は長蛇の列が順番待ちをしていた。
リフトを降りてしばらく歩くと、澄んだ水をたたる広大な湖が眼前に広がる。そしてその向こうには、昨日も街中から見たボゴダ峰が、頂に雪を冠している。

天池
天池の青、山の緑、ボゴダ峰の白

ボゴダ峰は標高5445メートルの高山であり、中腹にあるここ天池の地点で既に、2000メートル近くにもある。英語では“Heaven Lake”と呼ばれているようだが、まさに「天界に一番近い池(と言うよりは湖)」である。
湖を巡る途中、同じホテルの日本人女性2人にばったりと出会った。どうやら私とは逆向きにルートを巡ってきたらしい。
「あそこから見た風景がきれいでしたよ」
彼女たちが薦める地点に来てみると、確かに見事な光景だ。湖と空の青、山の緑、雲と雪山の白 ―― 3つの自然色のコントラストが美しい。
カザフ人のゲル
カザフ人のゲル

この地域の主要な民族はカザフ人である。彼らは乗馬を得意とし、移動式テントのゲルで暮らすという、モンゴル族に似た風俗を有する民族だ。観光客も乗馬や、ゲルでの宿泊を体験することができる。ただ、外国人相手にぼったくるなど良くない評判も聞こえてくるので、私は利用するのを回避させていただいた。

湖を後にして山中に足を進めると、激しく水しぶきをあげつつ川が流れている。その流れがしばらく行くと、緑色の水面を有する穏やかな池にと変わっている。しかしその穏やかさは、ほんの少し先に進んだだけで再び、激しさに姿を変えていた。そこにあったのは、目もくらむような滝である。
滝
天池から流れ出した川の滝
それ以前に一番新しく見た滝である中国・貴州省の黄果樹瀑布に比べれば小さい。しかし「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言うように、水しぶきはかなり強い。遊歩道が水浸しになって道の真ん中をまともには歩くことができない位だ。
同じ川の流れ、しかもこれほど短い距離の中にもかかわらず、水は実に様々な表情を見せてくれる。さり気ないが、これも自然の神秘か。

さらに川に沿って下山ルートがあったので、帰りはそこを歩いて下りた。麓の駐車場には予想外に早く着いたが、往路もここを歩いてとなると、かなりきつかろうと思われる山道だ。

自然美の世界から、ウルムチ市街の現実に戻る。しかし翌日にはいよいよ、東トルキスタン、そしてシルクロードを離れて、中国・北京という超現実の世界へ回帰することになる。

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