バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

中国・雲南、貴州

喜洲・2 ~偶然出合った素晴らしき光景


喜洲の街中へ戻ろうと来た道を歩いていると、何やら賑やかな音が聞こえる。視線の向きを変えてみると、そこには鮮やかな民族衣装をまとったペー族の少女たちが、大勢でどこかへ行こうとしていた。 白族の少女たち
白族の少女たち

[何かがありそうだ]
直感的にそう感じた私は、彼女たちの後を追ってみた。
少女たちは、湖畔のとある四合院(庭を囲むようにして建てられた数件の民家)に入っていった。四合院の庭には大勢の人が集まっていて、柱には金色の文字か書かれた赤い紙が貼ってある。
門から中をのぞいていると、1人の男性が「食事をしていくかい?」と誘ってくる。そう言えば昼食がまだだった。私は民家の屋上に案内されて、民族衣装に身を包んだ少女たちに囲まれ、洱海を眺めながら、昼食を呼ばれた。
食事をしている間にも、庭はますます賑やかになり、門前では爆竹が激しい音を響かせる。何が始まろうとしているのか ―― 既におおよそ、見当はついていた。
食事を終え、庭に降りてしばらくすると、スーツをまとった1人の男性が現れた。胸には「新郎」と書かれた布がさがっている。
白族の婚礼
ペー族の婚礼
やはりそうだ。婚礼である。
新郎が建物の少し奥まった所の椅子に腰掛けたところで、民族衣装の若者たちの舞踊が始まった。ペー族の伝統舞踊は、先ほど厳家院でも見てきたばかりだ。しかし、ここで行われている踊りは、観光客目当ての表演ではない。地元の人の喜事を祝う、心のこもった踊りだ。ぎこちなさは感じられるものの、彼らの踊りはとても生き生きとしていた。
踊りが終盤にさしかかったところで、新郎が突然、周囲にいる人々に向かって土下座をはじめた。どのような意味があるかは分からない。ペー族の、あるいは中国人の婚礼の風習なのだろうか。
踊りと歌の披露が終わったところで、客人たちは三々五々、引き揚げていった。
(おや、新婦は?)
婚礼のもう1人の主役が姿を現していない。後から来るのか、この日は新郎の披露だけなのか ―― いずれにしても、ここから先はよそ者はお呼びではなさそうである。新婦を見られないのは残念だが、私もそこで引き揚げることにした。
後日談
この話を留学先の大連で相互学習相手の女子学生に話したところ「そういう場では新婦は顔を出さないものなのよ」とのことだった。
偶然とはいえ、素晴らしい光景に出合うことができた。先日、昆明の民族村でペー族の婚礼のパフォーマンスを見ることができなかった時は残念に思ったが、もうどうでも良くなった。本物に勝るものは無いのだから。
ちなみに、この日は私の誕生日。旅先で最高の贈り物を受け取ることができた。

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