九寨溝 ~美しき別天地
2001年8月11日
風邪で体調を崩してしまっていたが、朝食は何とか喉を通った。昨日まる1日乗り続けたバスに再び乗り込み、九寨溝の景勝地に向かう。
美しい九寨溝の光景
力強い滝の流れも
空はあいにくやや曇り気味だったが、それでも九寨溝の美しい光景が損なわれることは無い。上を見上げると、山の緑がまぶしい。そして下を見下ろすと、池の、川の水が、場所によって様々に異なった表情を見せてくれる。川の流れは澄み、池の水は青というよりはむしろ碧、エメラルドグリーンの見事な色彩を放っている。
神秘的な水底の倒木
そのエメラルドグリーンのそれ程深くはない水底には、時折倒木が沈んでいるのが見られる。その光景が、九寨溝に更なる神秘を付加している。美しく、優しい光景ばかりではない。九寨溝の水の流れは、時として滝に姿を変え、自然の力強さを私たちに見せつける。
ここはまさに、別天地だ。アスファルトの遊歩道を遊覧バスが行き交っているので、残念ながら“秘境”という呼び方は当たらないかもしれない。しかし、普通では見られない貴重な自然遺産であることは疑いない。
しかし、この日の私は、この光景を目の当たりにしても100%楽しむことができない事情があった。昨日患った風邪である。歩けば歩くほど自然の光景への感動は増すのだが、それと同時に、風邪による気分の悪さも歩けば歩くほど増してくる。
そして同時に、深刻な問題が浮上してきた。同行している中国人たちとの交流が面白く感じられないのだ。風邪で気分が乗らないせいもあったのかもしれないが、どうも彼らとは反りが合わず、会話も弾まない。逆に、バスの中で平気で煙草を吸ったり、窓からごみを捨てたり痰を吐き散らしている姿に、嫌悪感すら募らせてしまっている。
早く成都に戻りたい気がしてきた。しかし、ツアーはまだ2日残っている。それに、気分が悪いとはいえ、黄龍もこの目で拝みたい。
この状況を少しでも良くするためには、一にも二にも休息だ。バスが黄龍に程近い松潘のホテルに着くと、私はひたすら部屋でゆっくりとした。
注:九寨溝、黄龍は本来中国ではなくチベットの版図に属する。
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