ラサ出発 ~急ぎ足だった「憧れの大地」
2001年8月7日
チベットを後にする朝となった。まだ表は暗いが、出発時間を考えると行かなければならない。皆が寝ているのでひっそりと出て行くつもりだったが、たまたまトイレで起きた1人に見送られて、キレーホテルを後にした。
しかし、外は雨。幸い、ホテルからリムジンバス発着点まではさして遠くなかったので、人は勿論、車もほとんど見られないひっそりとしたBeijing Streetを、私は1人、歩いて行った。ただでさえ仲間たちと別れてラサを去るというのに、また少し寂寥とした気分が強くなった。
バスがラサ空港に到着する頃には、辺りも明るくなっていた。
私が搭乗するのは、9時半発の成都行き。しかし、私を待っていたのは、冷淡なアナウンスだった。
「成都行きの便は機械の故障のため、12時30分発に延期となりました」
おいおい、3時間も先になるのか ―― しかし、仕方がない。時間よりも安全の方が第一だ。私はカセットを聴いたり本を読んだりしながら、チェックインまでの時間を過ごした。
正午、ようやくチェックインが始まり、私は待合室へと移動した。しかし、それでも出発の気配は無い。いや、それ以前に、飛行機が到着していない。
6時間も待たされ、ようやく到着した飛行機
結局、目当ての便が成都から到着したのは2時すぎ。離陸したのは、予定よりも実に6時間も遅れた、15時半。しかし、ともあれこれで先に進める。
私は眼下に広がる大地に目をやりながら、チベットに別れを告げた。
チベット高原の移動を含めても僅か6日間 ―― 実に急ぎ足のチベット訪問だった。シガツェあたりにも行けたらと思っていたのだが、訪れた街はラサだけ ―― せっかく苦労して究極の「憧れの大地」に来たというのに、後から考えると実に勿体無かった。
しかし、この地の不思議な魅力に惹きつけられた私は、再びこの地を訪れ、そして更にこの地に魅せられていくことになるのだった。
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