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雑記ブログ

ダライ・ラマ猊下の誕生日に――ウイグル・ウルムチで騒乱

本日はダライ・ラマ14世猊下の74歳のお誕生日。
今、猊下の読経のCDを聴きながらこのブログを書いている。

74歳か――昨年も手術をした身でわざわざ日本にお越しいただいたり、お身体が気がかりである。
何としても、御存命のうちにポタラ宮に、ノルブリンカにお戻りになることができれば――と心の底より思う。

※         ※         ※

ゆっくり瞑想でもしていたいところだが、本日はそうもいかない。
チベットと同様の差別・抑圧を受けている東トルキスタン(ウイグル、中国名『新疆』)でとんでもない騒乱が発生したのである。

<きっかけ>

ことの起こりは、6月26日。
中国・広東省韶関市のおもちゃ工場で、ウイグル人と漢人の民族的対立から大規模な衝突が発生し、ウイグル人81人、漢人39人が負傷し、ウイグル人2人が死亡した。

漢族がウィグル族の雇用で劣情を破裂
広東で民族対立のはて、流血の暴動が発生した

広東省で民族対立による大規模な暴動が発生、死傷者数百名をだした。
この事件は広東省東部の昭関市で09年6月25日に発生した。
香港資本の「旭日電子玩具工場」で漢族従業員とウイグル人従業員が対立、武器を用いての大乱闘となり、流血の暴動に発展した。二名が死亡、百十八名が負傷、このうち十六名が重症という。

香港資本は労賃を安く上げるため仕事をさぼり文句が多いだけの
漢族の雇用を忌避する傾向があり、五月にウイグル人を大量採用したばかりだった。
ウィグル族は漢族に比べると従順で賃金も安く済むため、経営者が集団で雇用を招致するからだ。

このため漢族vsウィグル族のささくれだった対立が激化、寮内では万引き、強盗、強姦事件が続出していたという。
漢族は「あいつらが来てからおかしくなった。ウィグル族は第二の日本鬼子だ」
とすべてを少数民族の田舎者の所為にした。

博訊新聞網(6月28日付け)に拠れば、
地元警察四百が直ちに現場に出動、パトカー、救急車の出動は48両におよび、六カ所の医院が緊急患者を受け入れた。このために152名の医者看護師が動員されたという。

少数民族の暴動を重視した党中央は直ちに連絡部会を開き対策を協議、
周永康、孟建柱という二人の中央政治局常務委員が出席した。
トップの政治局員が直々の指示は、いかに党中央が、この問題を切実に受け止めたかを物語るだろう。周も孟も公安検察規律警察を束ねる中国版KGBの元締めだからだ。

また広東省党委員会書記の王洋は事件発生翌日に、はやくも省内関係部署に指示をだした。
死亡した犠牲者の遺族に補償問題を提示し、また義援金をあつめよ、公安警察は事件の真相究明を徹底し、早急に責任者を逮捕し、適切な処理を行うと共に香港企業に対しては新彊ウィグル自治区から大量の雇用をするのは好ましくない旨を警告した。

民族間のバランスを計ると共に、今後の治安回復のためにも新彊ウィグ自治区からきている女行員の安全を確保し、一刻も早い社会の安定を回復せよと訓令した(博訊新聞網、6月27日)。

<発生>

それに抗議するデモが5日、東トルキスタンの中心都市ウルムチで発生し、3000人といわれる多数のウイグル人がこれに参加した。
当局はこれに対して武力で応じ、デモ隊と警官隊が衝突。多数の死傷者を出している模様。
(以下見出しとリンクのみ記載)

「中国新疆ウイグル自治区で騒乱、住民多数死亡か」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200907060005.html

「警官隊がウイグル人デモ隊に無差別発砲か、新疆ウイグル自治区」(AFPBB)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2618375/4335936

<死者等の数>

・本日未明の時点・・・2人
https://www.47news.jp/CN/200907/CN2009070501000624.html(時事)
・本日14時すぎの時点・・・129人(新華社通信発表)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00158527.html(FNN)
・本日15時ごろの時点・・・140人、負傷者828人(新華社通信発表)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090706AT3K0600B06072009.html(日経)

・また、17人のウイグル人が武装警察の車両に押し潰されて死亡したとの情報もある。
「暴動で17人死亡と亡命組織 ウイグル、武装警察車両が突入」(共同)
https://www.47news.jp/CN/200907/CN2009070601000394.html

・逮捕者もかなり出ているようである。

「ウルムチ暴動:「中心人物」含めて数百人逮捕-警察」(サーチナ)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0706&f=national_0706_028.shtml

・新華社等は、今回のデモを「世界ウイグル会議がインターネットを通じて扇動した」と報じる。

「ウルムチ暴動、ネット扇動を亡命組織が否定」(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090706-OYT1T00937.htm

「『世界ウルムチ会議』の化けの皮、暴動で明らかに」(中国国際放送=中国共産党のプロパガンダ機関)
http://japanese.cri.cn/881/2009/07/06/1s143107.htm

<国際社会の反応>

・国連は、「平和的解決を」と呼びかけるだけで中国政府への非難はせず。

「【ウイグル暴動】国連総長『平和的解決を』」(産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090706/chn0907062049009-n1.htm

・日本外務省は「懸念」し「注視」するだけらしいが、情報が少ない今の段階ではそれが限界か。

ウイグル暴動を懸念=藪中外務次官(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009070600689&rel=j&g=pol

<世界ウイグル会議の反応>

世界ウイグル会議「東トルキスタンで発生した虐殺事件に関する声明」
http://uyghur-j.org/urumqi_090705.html

中国共産党政府がウイグル人に対して行ってきた民族的差別や抑圧、そして同化政策などの結果、ウイグル地区から沿岸部の広東省のおもちゃ工場に強制移送されてきたウイグル人たちは同工場の漢民族従業員たちにより虐殺される事件が発生した。この事件で60名近くのウイグル人が殺され、100名を超えるウイグル人が重傷などを負った。

そして今日7月5日、広東省で発生した悲惨な虐殺事件、そして長く続いてきたウイグル人に対する民族的虐殺に抗議するため、ウイグル民族がウルムチの中心地4か所に集まり計1万人が参加し、平和的なデモで自らの不満を表した。しかしこのデモは多数の警察、軍や車両の出動で武力的鎮圧を受けた。

世界ウイグル会議が直接現地から入手した情報によると、この武力鎮圧で死亡した人は100人を超え、多数が負傷した。この中で幼い子供や女性もいた。

酷いのは、ウルムチの人民広場、南門、ラビヤ・カーディルデパートの前、延安路、陶器工場前などのいずれのデモ場所も一律悲惨な虐殺を受けた。軍の車両下で踏み殺された。軍・警察の銃で殺された。暴力で殺された・・・・・

我々の把握した情報では、すでに逮捕された人は1500人を超える。全ウイグル地区ですでに軍事態勢が敷かれている。一方、ウイグルのアクス県でも7月5日の夜からデモが始まっていることが分かった。カシュガルで起こっているデモについてはまだはっきりとした情報を入手していない。

世界ウイグル会議としては、全世界の民主主義国家や国民、人権団体などがこの事件に緊急な対応を取り、ウイグルで中国軍や警察などに虐殺されているウイグル民族を助けるよう促す。国連やNATOなどが関与し、検察団を派遣し、平和秩序を守り、冷静に対応し、今でも虐殺が続いているウイグル民族を一刻も早く鎮圧軍から守るよう呼び掛ける。
2009年7月6日

※翻訳 イリハム・マハムティ

 

死者のうちウイグル人がどれだけなのか等、詳しいことが分からない限りはっきりとしたことは言い難いのだが、昨年3月のチベット騒乱と同規模の惨事となる可能性が高い。
(2008年3月のチベット騒乱では、死者数203人、負傷者は1千人以上、5715人以上が拘束=2008年4月29日のチベット亡命政府発表)

その他にも、
・平和的なデモに対し当局が過剰な武力を投じて鎮圧
・当局はダライ・ラマ14世・チベット亡命政府がデモをそそのかしたと言いがかり

同じ図式が浮かび上がってくる。

いずれにせよ、もう少し情報が必要だ。続報を待とう。

ウイグル核実験の実態―東京新聞より

ちょっと前の話になりますが…

11月21日の東京新聞及び中日新聞の「こちら特報部」で、

中国 新疆ウイグル自治区 核実験の実態~隣国カザフの調査 日本人科学者が分析

という特集記事が掲載されました。日本人学者・高田純教授が旧ソ連やカザフスタンのデータから、中国が隠蔽し続けるウイグルにおける核実験による核汚染の実態を明らかにした研究を紹介したものです。

記事は大きく分けて2つの部分から構成されていました。

「住民19万人死亡 推定」
「風向き『配慮』季節選び実施  『核の砂』北京を避け」

1つ目の内容は、以前このブログで書いた経緯から既に知っていました(人数はともかくとして)。
記事によると、

中国が同自治区内で行った核実験は、1964年から96年まで延べ46回とみられ、「これらの実験のために致死レベルの放射線を浴び、死亡した住民は19万人と推定される」と高田教授は具体的な数字を挙げた。

46回の実験のうちメガトン級の地表核爆発は67年、73年、76年の3回。・・・(中略)・・・地表爆発は核汚染された土壌の粉じんを巻き上げ、周囲および風下に大きな放射線災害をもたらす。
高田教授によると、メガトン級の地表核爆発は米国でも旧ソ連でも内陸では行っていない。中国はそれを3回強行した。

メガトン級の地表核爆発という重大な実験の実態が、これまで隠し続けられていたのです。

中国の隠蔽体質は今更言うまでもありませんが、多くの人命、周辺環境を損なう暴挙を犯したこと自体問題なのに、それについて「知らぬ存ぜぬ」を通すなど無責任極まりません。

更に2つ目の見出しの内容。あきれてものが言えませんでした。
地表核爆発で汚染された核の砂」は風に乗って運ばれていきますが、67年、73年は風がカザフスタン方向へ、76年はチベット方向へ吹いていた時期を”配慮”とのこと。

「毛沢東ら共産党指導者のいる北京に『核の砂』が飛んでいかない季節を選ぶという最大限の配慮をしたはずだ」と高田教授は皮肉を込めた。

中共を守るために他の国にまで累を及ぼしていたことになります。
「中共の、中共による、中共のための政治」がこんなところでも浮き彫りに…。

そして、北京を避ける”配慮”をしたということは、地表核爆発の結果どのような事態になるかを理解していた証拠。つまりは「確信犯」だったということになります。

「主にウイグル人が居住している場所で、安全面の対策も立てず、国家によって犯罪的実験を行った」(高田教授)

的確な評価かと思います。
ウイグル人居住区で、わざわざ放射線被害が大きくなる地表爆発を、しかも北京に被害が及ばないように行った――非漢族軽視の姿勢すら見えてきます。

最後に、東京新聞特報部デスクが

チベット問題といい、核実験といい、『臭いものにはふた』の姿勢には大問題。人の犠牲の上に築いた大国の地位に価値はある?

と締めくくっていました。日本のマスコミがここまで書くとは異例のことではないでしょうか。

今まで知られていなかった中国の犯罪的行為を白日の下に引きずり出した画期的な研究、画期的な報道でした。高田教授と東京新聞(中日新聞)に敬意を表します。

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