ラダックの旅の際にお世話になった、ストクの「にゃむしゃんの館」を経営する日本人女性・池田悦子さんが、旦那さんのワンボさん、『ラダックの風息 』著者の山本高樹さん、大阪大学助教の津田和俊さんを交えて「ラダックの生活とトーキョーの生活~ちょっと立ち止まって考えてみる~」というタイトルのトークイベントを、國府田典明さんとモコメシの小沢朋子さんの主催で東京・渋谷の「SUNDAY ISSUE」にて開催。池田さん、ワンボさんは勿論、山本さんともラダックの現地からブログを発信した際に何度かコメントを頂いた縁があり、スケジュールを調整して駆けつけました。
イベント開始前に、池田さん、ワンボさん、山本さんと歓談。ようやく対面が実現できた山本さんからはご著書にサインを頂きました。
トークイベントは、山本さんがまずラダックの概要を紹介。それを受けて池田さんがラダック・ストクでの農村生活を季節を追って紹介。更に津田さんが研究テーマである「サステナブルデザイン」「都市・農村連携」という観点からラダックの農村生活について語ってくれました。
特に、津田さんが追究する「サステナブル(持続可能)」というテーマに、ラダックの農村という題材はうってつけ。「雪解け水という持続可能なinputを受けて、ヤクやゾ、牛の糞という持続可能な資源から燃料をoutputしている」などのお話がありました。また池田さんの話の中に「ラダックの農家では1階を家畜小屋にして、2階から上を人間の居住スペースにしている。それは家畜の糞などから出る熱が2階にまで伝わって、天然の床暖房になる」ということ(実はこの話、ラダックで池田さんから既に聞いていましたが)がありましたが、これも「持続可能なエネルギー」と言うことができるでしょう。
ストクの「にゃむしゃんの館」で農村生活を池田さんに解説してもらった際、
「ラダックの農村生活は至る所で再利用が行われていて、無駄が無いな」
ということを感じたものですが、今回のトークイベントで、それが何故か、少し分かった気がしました。
「ラダックではinputが(日本などと比べて)少ない分、何一つ無駄にできないのではないか?」
逆に、日本のことを考えてみると、
「日本の都市生活では、inputが多い割には、“持続可能な”inputは少ないな」
「そして、inputが多い割には、(持続可能な)outputが少ないな」
即ち、
「日本社会って、余りに無駄が多すぎるのではないか?」
ということを再認識させられた次第。
日本でも昨年の震災以来、「節電」ということが盛んに言われるようになっているが、それは「原子力 or not」という観点ばかりで論じられてはいないか?
もっと、「サステナブル(持続可能) or not」という観点から、エネルギー問題のことを考えるべきではないか?
ということを、今回のトークイベントで深く考えさせられました。
その他、高地ならではのラダック事情も興味深く聞かせて頂きました。
「標高が100m変わるだけで、獲れる農作物が違ってくる」
「標高の低いところから、文化・生活習慣が変わってくる」
等々。
さて、トークイベント終了後には、主催者のモコメシさんから、池田さん伝授のレシピによる食事がふるまわれました。
今回のメニューは、勿論ラダック料理! モモ(チベット式ギョーザ)、スキュー(『にゃむしゃんの館』でも夕食に頂いた、パスタのような小麦の食材とジャガイモなどを煮込んだシチュー)に舌鼓。
会場では、ラダックの写真が展示されたほか、ラダックで手作りされた、ヤクやブルーシープ等をモチーフにした編みぐるみなども販売されていました。
池田さんとワンボさんは来週、ラダックに戻られるとのこと。今回の来日では3度もお会いすることができましたが、今度はまたラダックでお会いしたいものです。