前日のうちにJR在来線で会津若松から新津を経て、新潟へ。
駅前の宿で一夜を明かし、この日は佐渡ヶ島を目指す。
行きはホバークラフト式の高速艇・ジェットフォイルで日本海を渡る。8時45分に出発して1時間で佐渡ヶ島に到着した。
最初の目的地に向かうに当たって、いきなり直行のバスがちょうどいい時間には無いことが判明。取りあえず相川という場所まで行って、そこから同じ場所へ向かう人たちとタクシーをシェアして向かうことにした。(ちなみに、7時55分に新潟港を出発するジェットフォイルに乗れば、着いたらちょうどいい時間に直行バスに乗ることができる)
道中、タクシーの運転手がいろいろと解説をしてくれる。その話によると、帰り道は下りばかりなので30分ほど歩けば先ほどのバスの終点に着くことができるという。帰りをどうしようかと考えていたので、これはいいことを聞いた。
やって来た場所は、佐渡金山。江戸時代に始まり、20世紀後半まで採掘が行われていた金鉱である。
まずは、トロッコが走っていたレールが残る坑道を歩く。太陽の光が届かない暗闇の中は、冷蔵庫のようにひんやりとしている。暗くて寒い、過酷な労働環境だ。
坑道を出た途端――眼鏡が曇る。カメラのレンズが曇る。
地下から出た所にあったのは、大きな櫓と資料館。更に先には粗砕場跡もあり、往時の作業の様子がしのばれる。
少し山道を上ると、大きな岩の裂け目が見える。道遊の割戸だ。遠くからでも見える佐渡金山のシンボル的存在だ。
しかし――穿った見方をすれば、この裂け目は採掘という人の営みが生み出した自然破壊の爪痕なのだ。
タクシーの運転手に言われたように歩いて山を下り、相川から路線バスを乗り継いで次の場所へ向かう。
次に訪れたのは、トキの森公園。私が子供の頃には7羽、そして2羽とどんどん減って、2003年には日本産の最後の1羽が死んで野生絶滅してしまった、「ニッポニア・ニッポン」の学名を持つトキの繁殖に尽力している施設だ。
最初の観察場所では全く姿を見ることができなかったが、ガラス張りの観察小屋ではしっかりと6羽、白い体に赤い顔のトキを見ることができた。
思っていた以上に小さく、華奢なイメージの鳥だ。これでは人間に狙われたらひとたまりも無いだろう。
今は中国生まれの個体で、ここでの繁殖を目指している。佐渡が再びトキが飛び交う島になる日は来るのだろうか。
帰りはカーフェリーでゆったりと新潟へ向かう。
佐渡金山でもトキの森公園でも、「人間と自然との共生」について深く考えさせられる訪問となった。