バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

フィンランド、スウェーデン

ヘルシンキ-4 ~最後の街巡り、最後のオーロラチャンス

2018年1月7日

ヘルシンキのフェリーターミナルから少し歩くと、ヘルシンキ大聖堂元老院広場に行き当たる。この場所に来るのはこれで3度めになるが、初めて、すっきりと晴れた青空の下にこの「ヘルシンキのランドマーク」を拝むことができた。 ヘルシンキ大聖堂と元老院広場
青空の下に見るヘルシンキ大聖堂と元老院広場
その近くの駅からトラムに乗り込む。
アレクサンテリンカトゥ通りから大通りであるマンネルヘイミンティエ通りに出た所に立つのが、3人の鍛冶屋像。フェリックス・ニュルンド作の銅像で、隆々とした筋肉がリアルで印象的な像だ。 3人の鍛冶屋像
3人の鍛冶屋像
テンペリアウキオ教会のドーム
外から見たテンペリアウキオ教会のドーム
国立博物館駅でトラムを下車し、暫く坂道を歩いて上る。すると、坂の上に丸いドームの頭が見えてきた。
テンペリアウキオ教会の屋根である。こんなドーム型の教会屋根は初めて見た。しかも地面の上に出ているのは屋根だけで、礼拝堂は地下にあるのだ。 テンペリアウキオ教会内部
テンペリアウキオ教会内部
中に入ってみると、ドーム屋根の周囲部分が明かり取りになっていて、折からの晴天の明かりを教会内に導いている。そして壁を見ると、岩盤をくり抜いたあとがそのまま使われていて、ドームはその上に積まれた石垣が支えている。座席の後ろには大きなパイプオルガンが設置されているが、この岩壁は音をよく反響させてくれそうだ。
この教会、「ロックチャーチ」の異名があるとのことだが、まさに「岩の教会」。何から何まで、私が持っていた「キリスト教会」の概念を打ち破ってくれた。

その後訪れた、先程下車したトラムの駅名にもなっているフィンランド国立博物館の方が、むしろ正統派の教会のようないでたちだった。 フィンランド国立博物館
フィンランド国立博物館
フィンランド大公(ロシア皇帝)が座ったとされる玉座
フィンランド大公(ロシア皇帝)が座ったとされる玉座
余り時間が無かったので急ぎ足で雰囲気だけ味わってきたが、赤と金が鮮やかな玉座が特に印象的だった。しかしこの玉座、ロシア皇帝がフィンランド大公として君臨していた時代に大公=ロシア皇帝が座していたとされるものだという。こんなところに、フィンランドの苦難の歴史が語られていた。

現代美術館マンネルヘイム元帥像などを横目に見ながら、ヘルシンキ駅近くまで歩く。
ショッピングセンターなどが立ち並ぶエリアに突如、丸みを帯びた木製の方舟のような建築物が現れた。カンピ礼拝堂――その名の通り、キリスト教の礼拝施設である。 カンピ礼拝堂
カンピ礼拝堂
中に入ってみると、そこにあるのはただ、静寂のみ。中にいる人々も、ただ口を閉ざしたまま座っているだけだ。写真を撮ろうにも、シャッター音で静寂を打ち破ってしまいそうではばかられた。

目をつけていた場所は見終わったので宿のあるエリアまで戻ったが、まだ少し時間がある。聖ヨハネス教会などのある南エリアを、北欧との別れを惜しむように散策した後、宿でバックパックをピックアップして、旅の終わりへ一歩を踏み出す。 聖ヨハネス教会
聖ヨハネス教会
繁華街を通って、ヘルシンキ駅へ。昨夜スウェーデンから戻って来て利用したばかりのヘルシンキ空港に、24時間を空けずして再び舞い戻る。 ヘルシンキの繁華街
ヘルシンキの繁華街
ヘルシンキ駅
ヘルシンキ駅。ここから空港に向かい、帰途に就く
成田への帰国便に搭乗。JALのボーイング787型機が滑走路を駆け抜け、北欧の大地を離れる。

しかし――
私の北欧旅はまだ終わっていなかった。

飛行機が雲を抜けて、恐らく星が見えているであろう夜空の下を進む。
雲の上なら… そう。

オーロラが見えるかもしれないのだ!

ヘルシンキから成田への便は、北極海をかすめるようにして東へと進む。
期せずして、私は左の窓際の席を予約していた。もしかしたら、ラップランドで何泊もしながら雲に阻まれて見ることができたかったオーロラを、機上から見ることができるかもしれない――一縷の望みを胸に、窓の外に目を凝らした。

しかし――
窓には機内の像が反射して外は余りよく見えない。爆発的なオーロラが出れば見えただろうが、どうやらそこまでとはいかなかったようだ。
結局、私の北欧の旅は、オーロラを見ることができないまま終わってしまった。

2011年のギリシャの旅以来のヨーロッパ訪問。
キリスト教文化、ムーミン、ノーベル平和賞など、目当ては幾つかあり、その多くを満たすことができた。
しかし、最大の目当てには恵まれなかった――言うまでもなく、オーロラである。

よし。
またオーロラを見に出かけよう。

オーロラを見るまでは死ねない。

完

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