バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

フィンランド、スウェーデン

ヘルシンキ-1 ~漆黒の夕方

2017年12月30日

午前11時30分に成田を離陸したJALのB787機は15時、北欧・フィンランドの首都ヘルシンキに到着――とはいえ、時差が-7時間あるので、かかった時間は10時間半という、アジアに足しげく通っていた私としては長いフライトだった。
日本の感覚では15時といえば冬でもまだまだ明るいのだが、ここフィンランドは北極圏にまたがる国である。夏は太陽が沈まない白夜となり、冬は太陽が一日中顔を出さない極夜となる。
私が訪れた時期は「極夜」とまではいかなかったものの、空港を出た15時45分ごろには既に、空港上空の空はうっすら暗くなりつつあった。 ヘルシンキ空港
ヘルシンキ空港。16時前だったが既に空は黒くなりつつあった

空港と市内を結ぶ鉄道のリング・レール・ラインで約30分。ヘルシンキ中央駅に到着した16時半ごろには、既に街は漆黒の闇に包まれていた。

到着してすぐにしたのが、両替。空港での両替はどうもレートが悪い印象があるので、前回のギリシャ旅行で余ったユーロを少しだけ持ってきて、両替は街中で、と考えていたのだ。
駅の中に銀行の窓口があったので、そこで両替。200ドルが158ユーロになって返ってきた。
しかし、先に結論を言うと、今回の旅でこのユーロの現金を使うことは殆ど無かった
というのも、フィンランド等、北欧諸国は典型的なキャッシュレス社会で、クレジットカードを使えない場所は殆ど無いのだ。マイレージカードを使って支払いをすればマイルも貯まるし、何よりカード支払いのレートは銀行両替よりも遥かにいい(この時、銀行での両替レートが1ユーロ≒148円だったのに対してクレジットカードのレートは1ユーロ≒138円と10円もの違いがあった)。そんな訳で、今回の旅でユーロの現金を使ったのは駅のトイレ(1ユーロ)とトゥルクという街の市バスぐらいで、後は全てクレジットカード払いとなった。 ヘルシンキ中央駅
ヘルシンキ中央駅
この日は中央駅からこのまま列車に乗る予定だが、まだ時間がある。私は、外の暗さと寒さに少々ビクビクしながら、駅の外に出てみた。
恐らくは、摂氏0度を下回っているだろう。しかし、恐れていた程の寒さではなかった。
この日のヘルシンキは最高気温3度、最低気温0度とのことだった。12月のヘルシンキは平均最高気温が零下という風に聞いていたが、この年の年末年始はそこまで気温が下がらなかったようである。 ヘルシンキ中央駅の繁華街
ヘルシンキ中央駅の繁華街
アテネウム美術館と路面電車
アテネウム美術館と路面電車
高層ビルこそ見当たらなかったが、さすがはIT工業の盛んな先進国の首都だけあって、華やかだ。中央駅の正面には歩行者専用の繁華街が延びていて、イルミネーションで美しく彩られている。大通りの真ん中には路面電車が走っていて、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している。
更にノスタルジックな雰囲気を強くしているのが、街並みそのものだった。ヘルシンキ中央駅を始めとして、その駅前広場の左右に建つ国立劇場アテネウム美術館 ――いずれも中世ヨーロッパの薫りただようクラシカルな石造りの建築物である。
10分ほど写真を撮りながら駅前を歩き回ったが、バックパックを担いだままの活動だったこと、そして、予想ほどではなかったとはいえやはり0度近い北欧の寒さが厳しかった。私は駅舎内に戻り、構内のハンバーガーショップでコーヒーを飲みつつ列車の乗車時刻を待つことにした。

18時半前。目当ての列車の乗車時間になったようなので、ホームに向かう。
私が乗車したのは、サンタクロース号。サンタクロースの古里であるロヴァニエミを経てケミヤルヴィまで行く寝台列車である。客室は、扉に鍵が付いた個室に簡素な2段ベッドが1つ置かれている様式だった。 サンタクロース号
サンタクロース号
サンタクロース号の客室
サンタクロース号の客室
18時50分、列車はフィンランド北部のラップランドへ向けて出発した。
先ほどまでいた日本の時間で、既に真夜中だ。時差ボケということを考えればとっくに眠気に襲われてもおかしくない時間である。しかし、北欧という地に初めて来たという思い、或いはこの列車が行き着く地で見られることが期待される光景へのワクワク感からか、どうにも寝付けずに寝台列車での一夜を過ごした。

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