コロンボ-1 ~内陸から海辺へ
2015年5月3日
アヌラーダプラからバスでコロンボへ向かう。
バスがプッタラマに差し掛かったところで、車窓の景色が一変した。目の前に、広大な青が開けて見えたのである。
――海だ。
コロンボ空港に到着してからこれまで、キャンディ、ダンブッラ、シーギリヤ、ポロンナルワ、アヌラーダプラと内陸の街ばかり巡っていてこれまでお目にかかれていなかったが、スリランカは海洋国家、もっと言えば、日本と同じ島国なのである。ようやくスリランカのそうした側面に触れることができた。
但し、プッタラマが面しているのは北海道のサロマ湖のようなラグーン(潟)であって、海に直接繋がってはいるものの外界に開けている感じではない。ここから先のルートは海からやや遠ざかってしまったので、本格的な「海」を目にするのはもう少し後の話になる。
コロンボ・フォート駅(翌日撮影)
夕方。バスはコロンボ・フォート駅近くの市場に到着した。
コロンボは、首都の座こそスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテに譲ったが、今なおスリランカ最大の都市であり経済・文化の中心地である。市場からコロンボ・フォート駅まで歩いただけでも、その人通り、車通りは今まで訪れてきた街とは比較にならないくらい活発だ。しかし、だからと言ってアジアの大都市でよくあるようなカオスは無く、どちらかと言うと整然としている。自動車の運転も歩行者に対して比較的優しい印象を受けた。
宿はフォート地区にあるシティレスト・フォートをインターネットサイトで予約していた。ドミトリーだったが、税金・サービス料等含め1泊につき18米ドルかかった。
実は、スリランカは他のインド、ネパールや東南アジア諸国などに比べて宿代が結構かかる。私もここまでネットで次の街の安宿を探すという行動を繰り返してきたが、安いところでも大体1泊20ドルはかかると思った方がいい。
2015年5月4日
一夜明けて、フォート地区を散策する。
まず目につくのが、高さ150mの40階建てツインタワーのワールド・トレードセンターと、それより少しだけ低い丸ビルのセイロン銀行本店。まだまだ高層ビルがそんなに多くないコロンボでは一際目立つ摩天楼だ。ここコロンボがスリランカの経済の中心である証しでもある。
セイロン銀行本店(左)、ワールド・トレードセンター
(右奥)、旧国会議事堂(右手前)
こうした近代的なビルディングがある一方で、コロンボには歴史的な景観がまだまだ残っている。旧国会議事堂や時計塔などのコロニアル様式の建物は、キャンディで目にしたクイーンズ・ホテルなどと同様、イギリスなど西洋列強の侵略時代に建てられたものだが、不思議とスリランカの街並みにマッチしている。
また、ワールド・トレードセンターの近くにあるショッピングモールダッチ・ホスピタルは、その名から想像できるように、オランダによる侵略の時代に建てられた病院を再利用しているもので、やはり歴史のある建造物だが、こちらはコロニアル様式とは趣を異にした瓦屋根のアジア式建築である。
そして、ポロンナルワやアヌラーダプラほどではないが、やはりこの街にもスリランカが仏教国である証しがある。ヒルトン・コロンボの正面に、スリー・サムブッダロカ・ヴィハーラという白亜の大きなダーガバ(仏塔)がでんと鎮座していた。
古きもの、新しきもの、受け継がれていくもの――コロンボは、これらのものが混在する街だ。
時計塔のある街並み
ダッチ・ホスピタル
スリー・サムブッダロカ・ヴィハーラ
そして、旧国会議事堂の正面を走る道路を渡った先に、私がこの街で一番の目当てにしていた光景が目に飛び込んできた。
――今度こそ、外に向かって開けた、海。
そしてこれが、インドやパキスタンを訪れたことはあってもそれらの国で海を見ることはついぞ無かった私にとって、初めて見るインド洋だった。
コロンボから見えるインド洋
[この海もまた、日本へと繋がっているのか…]
海外で海を見るといつも湧いてくる感慨が、ここでも胸にあふれるのだった。
「ハーイ!!」
地元の若者達が気さくに声をかけてくる。この広い海の風景を前に、彼らの心も開放的になっているのだろうか。
ただ、都会の海なのでお世辞にもきれいとは言えない。ここコロンボから急行列車で2時間半ほどの場所に美しい海を見ることができる街があるというので、私はコロンボ・フォート駅からそこへ向かうことにした。
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