バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

モロッコ

カサブランカ-1 ~西洋的な都会とメディナ

2013年11月2日

午後3時。メクネスからの列車はカサブランカの中心駅カサ・ボヤージュ駅に到着した。1週間前にカサブランカ空港に到着した直後にはすぐに途中駅からマラケシュに向かっていたので、このモロッコ最大都市の中心に降り立つのはこれが初めてとなる。
駅のホームにはやはりマラケシュへ向かう列車が停まっていたが、あの時は途中駅からでも余裕で座れたというのにこの列車はすし詰め状態だった。あれだけがら空きのマラケシュ行き列車に乗ることができたのは幸運だったということなのだろうか。

[さて、ここから宿のある中心街まではどうやって行こう。市バスがあるようなのだが今までの街でも市バスは分かりにくかったからな。2kmぐらいだったら歩いてもいいかな…]
などとメクネスからの道中にも考えていたのだが、駅を出てみると…
カサブランカ市電
開通したばかりのカサブランカ市電
1年ちょっと前に出版されたガイド本には載っていない市電が走っているではないか。
後で調べてみると、この市電は2012年12月に開通したばかりの、当時間もなく満1歳を迎えようとしていた若い市電だった。赤と黒の引き締まった配色と洗練されたモダンなスタイルが印象的だ。私が宿を取ろうとしていたのは中央市場近くだったが、まさしくその「中央市場」の駅があるではないか。
これで決まりだ。歩いて行くことも一時は考えたが、私はこのカサブランカの新しい“足”で、極めてスムーズに目的の中央市場に行くことができた。
宿はオテル・デ・ネゴシアンという安宿に決めた。WIFIもあるし部屋もきれいで良かったが、せめてフロントに宿代の釣り銭ぐらいは常時準備しておいてほしかった。

さて、カサブランカという街は、さすがに国際空港のある世界に開かれたモロッコ最大の都市だけあって、ということなのか、特に新市街は、これまで訪れてきたアラブとベルベル人の文化の濃厚なマラケシュ、フェズ、メクネスとは西洋的でモダンな薫りを色濃くしている。フランスに占領されていたという歴史がその理由の1つなのかもしれないが、それ以上に、モロッコがヨーロッパに一番近いアフリカだということがその一番の理由でなのかもしれない。

カサブランカの新市街
モダンなカサブランカの新市街
大西洋
堅固な壁に囲まれたカサブランカのメディナ

その一方で、古きモロッコの姿を伝えるメディナ(旧市街)も、新市街と隣り合わせになっている。ただ、隣り合わせとは言っても全くの別世界のように雰囲気は違う。そこにはまさに、これまで訪れてきたモロッコの街で見た「モロッコの原風景」があった。周りを頑丈な壁で囲まれていて、それが西洋化の波を寄せ付けない防波堤になっているかのようだった。

しかし、メディナも新市街も、取り敢えずは後回しでいい。私にはカサブランカに到着したら真っ先に訪れたい場所があったのだ。私は新市街を置き去りにし、メディナを横目に見ながらその場所を目指して北へと進路をとった。

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