ギャワ・リンガ磨崖仏
2011年9月29日
少し宿で休んだ後、今度はパドゥムの南へと向かった。
何が何でも見ておきたい場所の残る1箇所――それが、ギャワ・リンガ磨崖仏だった。パドゥムの東側を流れるツァラプ川の岸に立つ大岩に刻まれた仏たちである。
手元のガイド本を見ると、谷の底近くに架けられている橋に通じる小道を降りて、更にその橋の先にあるという。その通りに進んでいくと、遂には川辺にまで降りてしまい、更に川辺を歩くことになった。
しかし、なかなかその岩が見つからず、それがそうなのだろうと見回してみると、上の方にタルチョ(五色の祈祷旗)が飾られている岩が見つかった。
タルチョのある所に仏教あり――その原則に従えば、あれに間違いない。川辺からその岩まで上ってみると、まずチョルテン(仏塔)が刻まれているのを確認することができた。
岩の別の側面へと移動してみる。すると、岩肌に5人の仏たちがくっきりと刻まれているではないか。
これを見た瞬間、私は思った。
[これで、心置きなくザンスカールを後にすることができる・・・]
私がラダックに求めていたのは、ゴンパではない。チベット仏教そのものなのだ――先程サニで見たチャンパ石仏やこの磨崖仏が、私をそんな原点に立ち返らせてくれた。もはや、
ゾンクル・ゴンパに対する未練もサニ・ゴンパの内部に対する未練も大幅に(100%とは言えないが)消えてくれた。
それに、ザンスカールについて仏教以上に楽しみにしていたのが、自然の風景だった。トレッキングこそしなかったが、これについても既に十分に満足していた。実は、パドゥムに来る途上で目にした大自然の風景だけで既に大満足していたのである。
もっと長居してもよかったのだが、手持ちのルピーの問題もあるし、ラダックの旅行シーズンがそろそろ終わりに近づいてもいることだ。
[よし、行こう]
問題はレーに向かうための交通手段だ。
ところで、ギャワ・リンガ磨崖仏への道だが、わざわざ谷底に降りなくてもフラットな道筋で行けることに、帰り道で気がついた。
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