ザンスカールへ(3)
2011年9月27日
ペンジ・ラ峠を越えて10分ほど、白い雪を頂いた山の景色に見とれていると、雪山と雪山の間に白い帯が横たわっているのが見えた。
[もしかしたら・・・]
予感はしたが、その正体はすぐにはっきりと分かった。
氷河(ドゥルン・ドゥン氷河)だった。
先程から車の窓を開けて写真撮影をしていて、どうも冷え込んできたな、と思っていたら、ついに氷河がすぐそこに見える所まで来ていたのである。
ここは標高4000mの地である。雪山のすぐわきに川があるのだからその水源となる氷河があることは容易に予想できるが、これほど立派なものをみることができるとは――4年前、チベット・デチェン地区のカワ・カルポ峰(漢字名『梅里雪山』)に端を発するム・ロン(漢字名『明永』)氷河やパキスタン・フンザの氷河を訪れて以来の本格的な氷河を目の当たりにして、私のテンションのゲージは一気に上がった。
その他にも、ザンスカールは様々な自然の姿を見せつけてくる。
雪山をバックに、荒野の中を川と川が一つになる瞬間・・・
川が大地を大きくえぐり、鋭い谷を形成している場面・・・
ザンスカールは、高地における自然の姿の宝庫と言っていいだろう。
そして、カルギル以来希薄になっていたチベット色も再び濃厚になってきた。
チベット様式の家屋、タルチョ(五色の祈祷旗)、チョルテン(仏塔)・・・
チベット的な顔立ちとチベットの民族衣装・・・
今回の旅で究極の目的だったザンスカールに、今私はいるのだ。その中心都市まで、もうあと少しである。
ジープは途中で大きな荷物を持った地元の人を乗せつつ走る。アブラン手前の最後のチェックポイントを過ぎる頃には、乗客は5人にもなり、後部トランクと屋根の上は荷物で一杯になっていた。
やがて悪路は終わり、ジープは舗装道路に入り、ラストスパートをかける。
そして、やはり出発から11時間以上となった午後6時前、ジープはついに、パドゥムに到着した。
ここまでの行程で既に自然の景色を存分に満喫したが、ザンスカール巡りはまだまだこれからである。
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