バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ジャワ島(インドネシア)、シンガポール

ジョグジャカルタ―ボロブドゥール ~仏の棲み家へ

ベチャから見るジョグジャカルタの風景
ベチャから見るジョグジャカルタの風景
暑い中を歩き回ってさすがに疲れたので、宿まではベチャで戻ることにした。
座席が運転台の後ろにある通常のリキシャと違い、インドネシアのベチャは運転台の前に座席が置かれている。前を遮るものが何一つ無いので、車道からの目線で街の風景を一番くっきりと楽しむことができる交通機関はこのベチャに違いない。
但し、料金は1万ルピア単位でかなり吹っかけられる。トランスジョグジャが僅か3000ルピアで済むことを考えるとかなり割高だ。6日間のインドネシア滞在中、私がベチャを利用したのは結局この時を含めて2回だけとなった。

宿に戻った私は荷物を纏めとてすぐにチェックアウトし、次の場所へと向かうことにした。
その場所は、ジョグジャカルタの北へ40kmほどの地点にあるボロブドゥール。今でこそイスラムが圧倒的多数で仏教徒は人口の1%ほどしかいないインドネシアだが、かつてはこの国でも仏教が栄えたこともあることを物語る仏教遺跡である。
情報によると、ジョグジャカルタからは街の南にあるギワガン・バスターミナルでボロブドゥール行きのバスに乗ることができるという。ギワガン・バスターミナルならトランスジョグジャで行くことができるので、まずは最寄りのトランスジョグジャ乗り場へと赴いた。
「どこまで行きますか?」
と乗り場の係員に尋ねられたので
「ギワガン・バスターミナルまで」
と答えると
「ギワガンからどちらへ? ボロブドゥールですか?」
とさらに尋ねられたので「そうです」と答えた。すると、
「ギワガンは街の南側で、ボロブドゥールは北なので、ギワガンから乗るとまた北に戻ることになって時間的にも料金的にもロスが出てしまいますよ。ボロブドゥールに行くのなら、街の北にあるジョンボル・バスターミナルから乗った方が効率的です」
という大変ありがたいアドバイスを頂いた。更にはジョンボル・バスターミナルへ行くための乗り換えポイントとその次に乗るべき路線番号のメモまで書いてもらい、お陰で最適なバスターミナルまで実にスムーズに行くことができた。 仏像を彫る店
仏像を彫る工房が路線上に見える
道標のようにして立つ小さなストゥーパ
道標のようにして立つ小さなストゥーパ(後から撮影)

ジョンボルからボロブドゥールへの足は、典型的なオンボロローカルバスだった。途中で何度も停車して客を乗降させながら少しずつボロブドゥールに近づいていく。

途中から、石の仏像などを彫る工房が沿線に幾つも見られるようになった。仏教の力が弱い国でこうした風景が見えてきたということは、仏の棲み家に近づいている証拠である。
車窓の外はやがて田園風景へと変わり、続いて森を切り開いて道を通したようなものへと変わっていく。そして、道標のようにして立つ小さなストゥーパを通り過ぎた先にボロブドゥールのバスターミナルはあった。

バスを下りるや否や、旅行客が下りてくることを知った客引きたちがどっと押し寄せてくるが、既に泊まる宿を決めていた私は、彼らを振り切り、無視して足を動かす。観光バスが列をなして停車している遺跡公園駐車場前の道を奥へと進み、バスの列が途切れた更に先の場所にあるゲストハウスを一夜の宿に定めた。

ボロブドゥールの村は、旅行客を迎え入れるためにできた村だ。宿や食堂や売店、駐車場やバイク駐輪場など、その役割を満たす最低限のものがあるばかりで面白みは感じられない。
ここへ来たからにはやはり仏教遺跡だ。宿の部屋でほんの少し休んだ後、私は早速観光  ――  否  ――  巡礼へと再び表に出た。

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