バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ジャワ島(インドネシア)、シンガポール

シンガポール-ジャカルタ ~乗り継ぎ、また乗り継ぎ

2010年4月30日

夜も更け切った午前1時すぎ…
前日夕方成田を出発したシンガポール航空便はシンガポール・チャンギ空港に到着した。普段は賑やかであろうこの空港も、時間が時間だけに人も少なく、ややひっそりとしている。

しかし、今回の目的地はここではない。更に国際線を乗り継ぐ必要があるが、その出発時間は午前7時50分  ――  となると、入国はせずにそのまま空港内で待機していた方が得策だ。無料のインターネットサービス(日本語は使用できない)を利用したりバーでビールを飲んだりもしたが、やはり体内時計に逆らうことなくソファで軽く仮眠をとることに大部分の時間を費やした。
これまで経験の無かった空港で一夜を過ごすということに出発前は一抹の不安を感じていたが、ここの空港は平穏・安全そのもので安心して休むことができた。

夜のチャンギ空港
夜のチャンギ空港
夜のチャンギ空港
人も少なく、ひっそりとしている

午前6時。利用客が増え、場内アナウンスも頻繁に聞こえるようになる。東南アジアのハブ空港がようやくお目覚めだ。私はもう少しだけ休んだ後、乗り継ぎのゲートへと向かった。

乗り継ぎ便の行き先は、インドネシアの首都ジャカルタ。国際線とはいえ、ものの1時間半で着いてしまう近距離である。よく晴れた窓の下に海と、その上に浮かぶリアウ諸島やスマトラ島を眺めているうちに、8時半、ジャカルタのスカルノ・ハッタ空港に到着した。
アライバルビザを取得し、入国審査を経てインドネシアに入国。しかし私は空港の外には出ず、今度は国内線のチェックインカウンターへと向かった。今回の一番の目当ては、ジャカルタではなく他の街にあったのである。
その街へ向かう便のチケットは、オンラインで予約してあった。ただ出発時間について、ガルーダ航空の便で到着時刻に一番近いのは10時発、その次の便は13時20分発と結構開きがある。10時発の便となると、到着から出発まで僅か1時間半。万一遅延があったりした場合確実に乗り遅れてしまう。そこで私は安全策をとって13時20分発の便を予約しておいたのだが、実際に来てみると、9時前には到着ゲートをくぐることができた。
スカルノ・ハッタ空港内
スカルノ・ハッタ空港で出発時間を待つ地元女性たち
[10時の便に変えてもらうことはできないかな?]
淡い期待を抱いてチェックインカウンターに行って尋ねてみたが、残念ながらエコノミークラスは既に満席。予定通り13時20分発の便でチェックイン手続きを済ませ、それまでの間はまたも空港内で時間を潰すことにした。

スカルノ・ハッタ空港は首都空港としては規模も小さく、先ほどまでいたシンガポール・チャンギ空港と比べてしまえば貧相だが、そこここにインドネシアの伝統がちりばめられていて、ただ近代的なだけな空港とは違った趣がある。
待合ホールの一角に目をやると、何かの女性団体だろうか、大勢のインドネシア人女性たちが床に座り込んで(ベンチが余りに少ないのだ)案内アナウンスを待っている。彼女たちは一様に、長袖長ズボン、そしてジルバブと呼ばれる頭巾といういでたちだ。露出しているのは顔と腕の手首から先と足の甲だけ  ――  そう。ここインドネシアは女性の肌の露出を厳しく制限するイスラム教が強い国なのである。これもまたインドネシア文化ということなのだが、この暑い国でこのような服装を強いられるのは少々気の毒な気もする。

ベンチで休んでいると、隣にいた男性が英語で話しかけてきた。
ナシゴレン
インドネシアでの第一食ナシ・ゴレン
「どちらからですか?」「日本からです」
「これからどちらへ?」「ジョグジャカルタへ」
「ボロブドゥールへ?」「はい! ボロブドゥールが一番の目的です」
などと話を交わす中で、ふと現地の人に尋ねてみたいことが頭に浮かんだ。
「お勧めのインドネシア料理は何ですか?」
「そうだね  ――  ナシ・ゴレン(インドネシア風焼き飯)とか、ミー・バッソとか、イカン・バカール(魚の丸焼き)もいいですね」
取りとめの無い会話だったが、フレンドリーな物腰で、インドネシア人に対する好印象を私に抱かせてくれた。
その会話が終わって時計を見ると12時。お昼時である。近くのカフェテリアで、先ほど話の中に出てきたナシ・ゴレンを早速注文してみた。小エビやシラスなど海の幸がふんだんに使われていて、口の中に入れると海の香りが広がってくる。海洋国インドネシアならではの味だ。

食事をしている間にちょうどいい時間になった。私はジョグジャカルタ行きのガルーダ便に乗り込み、三たび機上の人となって空へと舞い上がった。

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