ナスカ-1 ~セスナから地上絵
このセスナに乗ってナスカ・ラインを空から望む
9時前、NCトラベルに出向き、4人のスペイン人と一緒に車でまずエアコンドル社の施設に向かう。
セスナに乗る前に、ビデオ鑑賞をする。他の4人は大型画面でスペイン語のDVDを見るが、日本語DVDがあるということで私は1人別室に案内される。しかし、ブロックノイズだらけで見るに堪えない。英語のものに替えてもらうが、これも駄目。結局スペイン語の方に移る。その後、日本人ツアー客らと一緒に良好なDVDデッキを使って大型画面で見ることになるが、ツアー客が騒がしく不愉快だったのとナレーションの語りが単調で聞くに堪えなかったため、途中で席を立ってあたりをうろつく。
やがて、職員に手招きされて車に乗り、ナスカ空港へ。空港使用料20ソルを支払ってから結構待たされた後、ようやくセスナに乗る。同乗したのは先ほどのスペイン人たちではなく、カリフォルニアから来た5人組だった。客6人+パイロットの7人乗りのセスナで私は一番後ろの1席だけの列に座る。
離陸した直後は眼下に緑も見えたが、やがて褐色一色の砂漠の景色へと変わる。その砂漠の上に、果てしなく向こうまで続くナスカ・ラインがくっきりと見える。中には三角形の頂点から延びるラインもある。
砂漠の果てしなく向こうまで続くナスカ・ライン
三角形ナスカ・ライン
「左側にクジラが見えます」
「右側に宇宙人(またの名をフクロウ男)が見えます」
パイロットがポイントごとに解説してくれるお陰で、地上絵がどこにあるのかよく分かる。場所さえ分かればその姿をくっきりと見ることができる。
クジラの地上絵
宇宙人(フクロウ男)の地上絵
上記のように、私は一番後ろの1席だけの列に座ったのだが、それが吉と出た。セスナが右に左に旋回する中、両方を楽しむことができたからである。
犬の地上絵
サルの地上絵
一体誰が何の目的で描いたのか。ナスカ・ライン研究の先駆者であるマリア・ライヒェによる農暦説をはじめ、雨乞い儀式用説、社会事業説、宇宙人との交信用説などさまざまあるが、はっきりしたことは未だ解明されていない。
クモの地上絵
コンドルの地上絵
そもそも、これほど大規模で正確な図柄を、正確な直線を、どのようにして描いたのだろうか。高台に上ったとしても斜めにしか見えないはずなので、それでは地上に描かれた正確な図を確認することはできない。それを実現するためには真上から見るしかないのだが、当時は勿論、空を飛ぶ技術などあろうはずもない(熱気球が使われていたとする説もあるらしいが)。
ハチドリの地上
ペリカンの地上絵
そんなことを考えると、最も非現実的で荒唐無稽な「宇宙人が宇宙船を着陸させるための目印として描いた」という説を信じたくなってしまう。宇宙人?と思われる地上絵も、彼らの自画像だったのではあるまいか。
木の地上絵(手前)と手の地上絵(奥)。
左に見えるのはミラドール(展望台)
オウムの地上絵
40分間のフライトが終了する頃には、私の旅のテンションは頂点に達していた。
[大満足だ。これで旅を終わらせてもいい…]
但し、ここで言う「旅」というのは、今回のペルーの旅だけにとどまらない。
2007年のアジア周遊旅行を終わらせた時、私は
「旅は本当に終わったのか?
単に旅の途中で日本という国、東京という街に立ち寄り、そこでの滞在期間が何年、何か月になるか分からない、というだけなのではないか?」
という違和感を抱いた。そしてその違和感の正体が「まだ旅の満足感が足りない」ということだったことに気が付いた。
今回ようやく、旅の満足感がフルゲージにまで振り切った。2007年末以来どこかをさまよっていた私の旅心に、ようやく一つの区切りを付けることができそうだった。
しかし、ナスカは、ペルーはこのくらいで私の好奇心を鎮めてはくれなかった。
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