チチカカ湖-1 ~葦の浮島・ウロス島
2009年9月22日
6時50分、チチカカ湖(ティティカカ湖)ツアーのピックアップが来る。ワゴン車の中には運転手がいるだけ。どうやらこのホテルが最初で、これから別のホテルをあちこち回るようだ。
次に乗ってきたのはやはり日本人の男性。その後は別の国の方々が次々と乗車していく。10人ほどの参加者を拾った後、港へと向かう。
30人乗りのモーターボートの船内で更に10数人の参加客たちと合流。歓迎の音楽が演奏された後、出発。ガイドがスペイン語と英語でツアーの説明をする。
抜けるような青空の下、プーノの港を離れ、広々とした湖面に出るが、すぐに葦の生い茂る細い水道へと入っていく。
最初の目的地は、プーノからほど近い場所にあるウロス島。しかし、島とはいっても湖底から隆起した陸地ではなく、トトラという葦で造られた浮島の集合体なのだ。
葦で造られた浮島・ウロス島
ウロス島はこのような葦のブロックでつくられている
島の一つに降り立ってみると、ふわりとした、地に足がついていないような感触を受ける。この島が水に浮いている証拠だ。
現地の方から、ウロス島の造り方について説明を受ける。トトラを固めてブロック状にし、それを寄せ集めてその上にまたトトラを敷き詰めて島にしているという。
島に暮らす人々
葦で造られたトトラ舟
そのブロックを水に沈めるとどうなるか、という実験もしてくれた。水深10数メートルの湖水にドボン!とブロックを投げ込むと、一瞬沈んだ後、プカリと浮かび上がって水面から顔を出す。なるほど、これを幾つも組み合わせればその上で人も生活できるだろう。
ここでの水上の移動手段は、やはり葦で造られた手漕ぎのトトラ舟になる。私たちも体験乗船することになった(別料金)。標準的なものは10数人ぐらい乗れそうな大きさだが、私たちは大人数だったので、2艘のボートを横に2つ並べて繋いだ上に櫓を載せた大型のものに乗る。
ゆったりとした水面を、ゆったりと進む。
舟だけではない。ここでは時間そのものがゆったりと進んでいる。スローライフが展開されているウロス島にふさわしい移動手段だ。
対岸の島に到着したところでモーターボートに乗り換え、ウロス島を後にする。
ゆったりとしたのどかさが印象的な島だったが、一つ気になったことがあった。
なぜ、このような島が造られるようになったのか。
ツアー中、その根本的な部分は語られず、気になって帰国後調べてみた。
すると、愕然とさせられる説があることが分かった。
かつてこの地域に暮らしていたウル族の人々は、差別を受けて陸地に住むことを許されず、人工の島で暮らすことを余儀なくされたというのだ。そして純血なウル族は、混血が進んで20世紀半ばには絶えてしまったという。
あくまで一説にすぎないのだが、こののどかな風景の裏にそんな悲しい背景が存在する可能性があると分かると、途端に胸が痛くなってきた。
差別はスペイン人と原住民の間だけではなく、原住民の中でも存在していたのだ。
なぜ人間は、差別という愚行を繰り返すのか…。
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