ハロン湾 ~海に屹立する岩山
2007年12月8日
ハノイ近辺にある「海の桂林」と呼ばれる場所 ―― 旅行社の1泊2日ツアーに参加して(これが一番安上がりなのだ)、そのハロン湾へ向かう。
朝早くに出発して正午、ハイフォンの港に着く。港にはジャンク船を模った観光船がひしめき合っている。
「まるで水上マーケットだ」
誰かがそんなことを言う。本格的な水上マーケットは残念ながらここまでお目にかかることができていないが、きっとこんな風に船が水上一面にひしめき合っているのだろう。
ハイフォンの港を一斉に出発する船
12時45分ごろ、私たちのものを含めた観光船が続々と出港していく。船の形が形だけに、あたかも海賊もしくは鄭和の船団であるかのようだ。
ハロン湾は確かに、桂林に例えられるのが分かる海だった。水面から、桂林の漓江沿いに屹立しているのと同じような、苔むしたように木々を頂に生やした白や灰色の岩肌の島 ―― いや、島と言うよりは砂浜も無い石灰岩質の岩山が、幾つも幾つも海からそのまま、ほとんど垂直に生えるようにして屹立しているのだ。そう言えば、途中で下船した島で鍾乳洞巡りをしたのだが、桂林も鍾乳洞で有名である。
水面から生えるようにして立つハロン湾の岩山
ベトナムは桂林のある広西に隣接しており、ハロン湾と広西は目と鼻の先だ。どうやら、同じ石灰岩台地が地続きになっているらしく、それなら似たような地形が形成されるのもうなずける。
しかし、桂林に例えられるのは分かるものの、もしかしたらこのハロン湾は桂林にも勝っているのではないか、とも思えてくる。
一番の違いはやはり、桂林は陸(川)、ハロン湾は海だということだろう。スケールという点で、圧倒的にハロン湾の方が上だ。桂林では地平線が見えないが、ハロン湾では水平線が岩山の向こうに見えるのだから。
岩山の下の部分が海に隠れていることから、「どのようにして立っているんだ?」などとも考えさせられ、ミステリアスさのようなものすら感じられる。
水上生活者が暮らす船
フルーツ売りの小舟
ハロン湾には水上生活者もいるようで、バラックをそのまま舟に乗せたような屋形船風の船が幾つも浮かんでいる場所も見かけられる。そうした場所では、色とりどりのフルーツを積んだ小舟がジャンク船に近づいてきて、ツアー客に「パイナップル?」などと声をかけてくる。
夕陽に染まるハロン湾
天気は少しはっきりしない曇り空で少々霞もかかっていたが、それでも岩山の迫力は十分伝わってくる。夕刻になると、西の空に夕陽がくっきりと見えて、海や岩山を赤く照らした。
気がつくと、ハロンを出港して暫くはあれだけたくさん航行していたジャンク風の観光船が数えるほどになっていた。コースや日程の違いのためだろうか。宿泊先であるカット・バ島の埠頭に着いた時には、私たちの船一隻だけになっていた。
初日だけでも十分にその存在感を見せ付けてくれたハロン湾。明日はどんな顔を私たちに見せてくれるだろうか。
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