河口 ~中国脱出、ベトナムへ
2007年11月28日
早朝のバスで元陽を経ち、河口へと向かう。
買い出しをしてベトナムに戻ろうとする人たち
河口に到着したのは昼すぎ。街中には、どこかで見たような中国らしからぬ三角錘の編み笠をかぶった人々が列をなしている。
「どこか」 ―― 言うまでもなく、ベトナムだ。
そう。河口はベトナムとの国境の街。すぐそこに流れている紅河の向こうはもう、ベトナム・ラオカイなのである。ベトナム笠をかぶっている人々は、中国で買った品物をベトナムに持ち帰ろうとしているベトナム人なのだ。
私がこの街に来た目的も、勿論ベトナムだ。先日既に訪れてはいるものの、ビザ無し渡航15日間という制限のためにまだ見たい場所を見尽くしてはいない。もう一度入国して、今度は北部を中心にベトナム巡りだ。実は、ベトナム中南部→ラオス→雲南→ベトナムというコースをとったのも、それぞれでの滞在日数を15日以内に抑えて全てビザ無しで済ませよう、という思惑があってのことだった。
紅河の向こうはベトナムだ
陸路の国境越えはもう慣れたものだが、今回は珍しく、中国側のイミグレーションで荷物を開けさせられた。本が引っかかったらしいのだが、ガイドブックや英会話本ばかりで怪しい本は一冊もない ―― のだが、本以外で少々まずいものがあった。
インド・ダラムサラで買ったダライ・ラマ14世猊下のお写真だ。
世界中で尊敬されている猊下だが、チベットを不法に侵略・抑圧している「中華人民共和国」だけが世界で唯一、猊下を目の敵にし、猊下のお写真を所持することすら禁止している。
見つからないかと冷や冷やしたが、どうにか見つからずに無事イミグレーションを通り抜け、中国を脱出することができた。
中国側のイミグレーションを抜け、目の前に横たわる紅河に架かる橋を渡ると、12日ぶりのベトナムである。
年内の帰国を目指していた私にとって、事実上、これが旅の最終目的地となる。空路を使わずに帰国するつもりだったので第三国を経由することにはなるが、ベトナム北中部を巡り終えたら、後は帰途を進むばかりである。